【ご相談内容】連帯債務ないし連帯保証の相続について

父が亡くなりましたが、父は、友人と一緒に行っていた不動産関連の事業で
連帯債務?か、連帯保証?かどっちかをしていたことが分かりました。

返済期間の残りはあと15年だそうです。

いずれにせよ、これまではその父の友人の方が返済・支払いをしていたのですが、多少は遅れることはあったけれども、今は遅れていないそうです。

ただ、その父の友人の方もかなりの高齢で、今後もきちんと支払い続けられるのかが、心配なので、失礼かとは思いましたが、なんとか一括繰り上げ返済をしていただけないかとお願いしてみました。

しかし、

「とてもとても、そんな余裕はない。」

「毎月の返済ですら一杯一杯である。」

「自分も、もう年だし、いつまで今の調子でやっていけるかも分からない。」

などと私が心配していた通りのことを逆に言われてしまい、かえって心配が大きくなってしまいました。

なお、その父の友人の方に聞いても、

「連帯保証とか連帯債務とか難しいことは分からない。」

「万が一、支払えなくなれば、そちらの方に請求が行くかもしれないが、今のところは自分(父の友人)が銀行からの連絡窓口になっているので、大丈夫。」

「そっちにいきなり何か連絡が行くことはないと思う。」

とのことでした。

結局、私としては、どうしたらいいのでしょうか?相続放棄すべきですか?

相続放棄しないとどうなってしまうのでしょうか?

【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~

連帯債務者と連帯保証人の違い

まず、「連帯債務者」と「連帯保証人」の意味と違いについてお話しておきます。

両者はよく似ておりますが、違う概念です。

連帯債務者・連帯債務とは?

「連帯債務」とは、債務者が2人以上の複数である場合です。

銀行などの債権者に対して、同一の内容で負う返済債務を言います。

連帯債務者Aと連帯債務者Bがいるとすれば、例えば、銀行などの債権者から見れば、単に債務者が複数になっただけです。

ですので、債権者としては、どちらの連帯債務者に対しても、債務者として返済を求めることができます。

連帯保証人・連帯保証(債務)とは?

「連帯保証(債務)」とは、債務者(主債務者)が別個にいる場合であって、その債務者が債務不履行をなした場合に保証(債務者に代わり返済)する債務を言います。

「連帯保証人」は、あくまで、「保証人」であって「債務者」ではありません。

さらに、細かい話をしますと、保証人と連帯保証人とも異なります。

単なる「保証人」であれば「まずは主債務者に請求してください」と主張することができますが、「連帯保証人」はそのような主張をすることができません。

したがって、債権者からすれば、「連帯債務者」に対するのと同じようにいきなり「連帯保証人」に請求ができるのです。

ただし、「連帯保証人」は自分がお金を借りたわけではないので、本来の債務者に対して、

「私が代わりに払ってあげたのだから、私が払った分を全額、私に返してください。」

と言えます。

他方、連帯債務の場合には、どちらむ債務者であって、主従の関係はありません。

最終的な負担をどうするかは、その債務者同士の取り決めによりますが、基本的には半分ずつ負担します。

全額を立て替え金として、一方が他方に求償(請求)することはできません。

ですので、「連帯債務者」と「連帯保証人」が全く同じということでもないのです。

分かりにくいですよね。

連帯保証と連帯債務で何が異なるか?

現在のところ、お父様のご友人という方が窓口になって支払っているということですが、もし、お父様が連帯保証人であったとすれば、そのお父様のご友人が最後まで無事に支払いをし終えてくれれば、それで終了です。

お父様が負担すべき債務は何もないことになります。

他方、連帯債務の場合ですと、そもそも、お父様も債務者である(であった)ので、そのお父様のご友人が最後まで支払いをし終えたとしても、今度は、そのご友人の方から、

「俺だけが債務者でないのだから、あんたも支払ってくれ」

と言われてしまう可能性があります。

もちろん、ご友人と言うことですので、死んだ友人の子供に対して請求を実際にするかどうかは別として、請求する権利はあるというわけです。

連帯保証の場合であって、最後までそのご友人が支払ってくれるだろうと確信を持てるような場合であればともかく、そうでないということであれば、相続放棄をしておいた方が無難ではないでしょうか。

もちろん、他にさしたる財産がない場合の話ですよ。