【ご相談内容】代金滞納でも別の携帯・スマホ会社で新規契約は可能か?
新潟の妙高市で、夫婦で民宿をやっています。
民宿の運営は、厳しくはありますが、なんとか切り盛りしていけております。
問題は、跡継ぎと期待しているものの、今一つの長男のことです。
長男は、民宿のホームページとか、あとは、SNSとかをいろいろやってくれていたのですが、そのセミナーとかで知り合った人から、いろいろな教材とかDVDとかを買わされることになってしまいました。
( もちろん、私たち夫婦のため、民宿のためを思って頑張ってくれたことはその通りですが 。)
そして、私たちが知らない間に、300万もの借金をつくってしまっていました。
一応、彼には、毎月のお給料としては、22万円を払っていたのですが、とても、お金に困っている様子でしたので、事情を問いただしたら、やっと話してくれました。
根はイイ子なのですが、どうも社会性に欠けるところが少しあるようです。
ただ、この若さで破産までさせるのは気の毒ですので、なんとか個人再生とかでできないかと思っております。
私たちも、できることがあれば応援するつもりです。
なお、長男には、携帯代の滞納も結構な額であるようなのですが、長男曰く、
「あれは、海外に行ったときに、おかしなローミングをされて不当に高額請求されている」、
「そんな不当請求の携帯代を無理して支払うよりも、借金の整理のための費用に充てた方がいい」、
「携帯はまた別の会社で契約するからいい」、
などと言っているのですが、そんなことできるんでしょうか?
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
携帯代金の滞納を続けるとどうなるか?
すでに携帯代金を滞納しているということですが、まだ利用停止されていないのでしょうか?
このまま行くと、もう少しで利用停止(契約は続いており料金を支払えば通話が復活する状態)になるでしょう。
そして、それでも滞納を続ければ、契約解除(強制解約)ということで契約終了です。
そこから、慌てて料金支払って復活させるということはできません。
今までの携帯の番号も失われてしまいます。
携帯代金を滞納したまま他の電話会社で契約できるのか?
料金未納による契約解除(強制解約)にまで至っていないのであれば、契約できるでしょう。
ただ、ナンバーポータビリティーという電話番号を引き継ぐサービスについては、滞納を続けている状況下では、必ず、できるとは言い切れません。
また、滞納を続けて契約解除になってしまった場合には、他の電話会社でも契約できないでしょう。
実は、携帯電話の会社の加盟する団体で、
「一般社団法人電気通信事業者協会」(TCA)
という団体があり、ここは何をする団体なのかというと、その目的は、
「不払者情報の交換」
です。
契約解除後に料金不払いのある人物の情報を携帯電話等の移動系通信事業者間で交換しているのです。
通常のクレジットカードや信販会社・消費者金融の支払い事故についてのブラックリストになぞらえて、
「TCAブラック」
なる言葉もあるようです。
(1)TCAの不払い者情報交換の目的
”契約解除後においても、料金不払いのあるお客様の情報を事業者間で交換し、その情報を契約申し込み受付時の加入審査に活用することにより、料金不払いの再発を防止し、利用者全体の公平性と利益を守ることを目的としています(料金不払いの状況によってはお申し込みをお受けできない事があります)。”
とあるように、不払い者の情報を新規契約時の審査に使って、料金不払いの状況によって契約を断るのです。
(2)TCAの不払い者情報交換の期間・対象
不払い情報が交換されるのは、契約解除から5年です。
TCAの未払い(ブラック)情報は、完済すれば消してもらえます。
また、自己破産等により免責が決定している方の情報は交換の対象となりません。
契約解除になっても別の電話会社で携帯の契約できるのか?
docomo や au や softbank などの大手キャリア相互間では、別のキャリアで契約解除になったら無理でしょう。
ただし、格安スマホと呼ばれるスマホ会社(キャリア)の中には、TCAに加盟していない会社も確かに存在するのです。
エックスモバイルやLINEモバイル等は受け付けられるかもしれません。
(今後は加盟するようになっていくでしょうが)
ただし、ちょっとややこしいですが、格安スマホの会社の中にはクレジットカードが必須の会社があります。
なんで急にこんなことを言うかというと、あなたの息子さんが携帯代金を不払いにして、ひいては、契約解除に至らせたということなんですよね?
ということは、ひょっとすると、その携帯代金の不払いの中には、携帯端末本体の代金の分割払いが含まれている可能性があるからです。
その分割払いが終わっていない段階で契約解除になってしまうと、それは、本当にブラックリスト入りです。
割賦払いの支払い事故なので、いわゆる信用情報機関(CICやJICC)における信用情報に登録されることになります。
そうすると、クレジットカードが作れなくなるのです。
また、今後、自己破産や個人再生をすると言うのであれば、それらによっても、同様にクレジットカードが作れなくなる可能性があります。
要するに、クレジットカードがなくても契約できるスマホ会社を見つける必要があるということです。
LINEモバイルは、プリペイドカードやLINE Payでの支払いがOKのようです。
ただし、この流れだと、何やらLINEモバイルを勧めている感じになってきましたが、決してそういうことではありません。
それに、このようなクレジットカードが必要とか必要でないとか、この手の話はよく変わるので、こまめにチェックする必要があります。
この間まではできていたのに、できなくなったとか、逆に、以前は駄目だったのに、できるようになったとか、新サービスができたとか、新会社が参入してきたとか、いろいろあります。
携帯会社との契約を不払い者とは別の第三者が行う
あとは、ご両親が長男のために、携帯をもう一台契約して、持たせてあげるということも可能です。
これはまず確実です。
ですが、長男さんがやたらと電話をするとか、やたらパケット通信をしたために、携帯代金がやたらと高額になるということもあり得るかもしれません。
その手のリスクは、覚悟しておく必要があります。
それを支払わないと、契約者であるご両親の信用情報に遅延情報が登録されることになってしまいます。
何より、期限までに支払わないと、ご両親に督促が来ます。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、携帯(スマホ)代金を滞納し続けるとどうなるのか?別のスマホ会社で新規契約は可能か?につき、ご説明致しました。~