【ご相談内容】個人再生のカット率(最低弁済額)の計算と清算価値保障

新潟で長距離のトラックの運転手をしております。

ただ、トラックは持ち込みでガソリン代も高速代も自分持ちです。

借金の支払いがどうにもならないから、司法書士さんに相談に行きました。

もともとは、住宅ローンがあるので、破産してしまうと家がとられちまうってことだったので、

今の借金の支払いをもっと長ーい期間で分割払いにしてもらうように、

サラ金やらクレジットカード会社さんにお願いしてもらうっていう話でした。

最初はただ、私もどういうのがいいのか分かんねえから、それでお願いしますっていうことでしたが、

いつまでたっても、司法書士さんからどうなったのか連絡がありませんでした。

ただ、司法書士さんにお願いしたので、カード会社やらサラ金からの督促がなくなり、

無責任と非難されても仕方がないですが、正直言って借金のことを忘れて生活するようになってしまいました。

ところが、そんな生活を半年ほどしてから、突然、司法書士の事務所のスタッフの人から連絡があり、

「任意整理の準備ができました。これからの支払いが月々18万円になります。」

「住宅ローンと車のローンはもちろん別に支払ってください。」

「月々の支払いを司法書士事務所で代行する場合には、支払い代行手数料が1社あたりかかります。」

「来月から支払い開始ということでお願いします。」

と言われたので、

「ちょっと待ってください。そんな急に言われても18万円なんて聞いてません!」

「こんな分割払い以外になんか方法はないんですか!」

「なんで今まで相談の一つもなかったんですか!?」

と答えると、

「任意整理というのは、別々に借金が減るわけではないのです。」

「それだけ、あなたの借金が多かったということです。」

「じゃあ、自己破産にしますか?そうしますと、家も車もあきらめていただくしかありません。」

と冷たく言われてしまいました。

ただ、そのスタッフの人の上司という人が電話に出てきて、

「連絡が不十分だったのはすいませんでした。」

「ひょっとしたら、お客様の場合には個人再生ができるかもしれませんが、うちではできないんです。」

「個人再生の専門の司法書士か弁護士にご依頼されるほうがよいかもしれません。」

と言われました。

個人再生だと支払額は18万円より減りますか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生の免除率(減額率・カット率・最低弁済額)の計算

「個人再生だと支払額は18万円より減るか?」については、あなたの借金(負債)総額がどれだけあるかに関わります。

借金(負債)総額によって、免除(減額・カット)される率が変わるのです。

個人再生により返済しなければならない額(これを最低弁済額といいますが)というのは、原則として、借金(負債)総額に基づいて計算されるのです。

個人再生の免除率(減額率・カット率)については、よく80%だとか90%だとか言われていますが、実は、一定ではないのです。

たしかに、個人再生における免除率は最大90%なのですが、この90%という免除率は、住宅ローン等を除いた借金(負債)総額が

3000万円を超え5000万円未満の場合の免除率であって、

例えば、借金(負債)総額が500万円を超え1500万円以下の場合には、免除率は80%です。

以下に、具体的に示しておきます。

・借金(負債)総額 100万円未満の場合は全額返済

→100万円未満の借金の場合には、個人再生をしたところで一切、借金が免除(減額・カット)されないのです。

・借金(負債)総額 100万円以上500万円以下の場合は、5分の1返済

→5分の1だから20%を返済するということです。逆に言えば、80%が免除(減額・カット)されるということです。

・借金(負債)総額 1500万円を超え3000万円以下の場合は、300万円

→例えば、借金(負債)総額が2000万円の場合には、300万円を返済すればよいので、(300÷2000=)15% を返済することになり、免除率は、85%となります。

他方で、借金(負債)総額が3000万円の場合にも、300万円を返済すればよいので、(300÷3000=)10% を返済することになり、免除率は、90%となります。

・借金(負債)総額 3000万円を超え5000万円未満の場合は、10分の1返済

→10分の1だから10%を返済するということです。逆に言えば、90%が免除(減額・カット)されるということです。

清算価値保障

以上のように、個人再生における最低弁済額は計算されるのですが、例外があります。

それは、以上のように計算された最低弁済額よりも自分が持っている財産が多い場合には、その財産の額以上の返済をしなければならないということです。

例えば、500万円の借金があるとして、100万円が最低弁済額になったとしても、200万円の資産を有している場合には、200万円が最低弁済額です。

これを清算価値保障といいます。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生で借金はどれだけ減るのかを、個人再生の免除率(減額率・カット率・最低弁済額)の計算と清算価値保障からご説明致しました。~

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