【ご相談内容】相続放棄の手続きについて
私の父は、私が小さいときにすでに他界しており、私は、(父方の)祖父と2人でずっと暮らしてきました。
父と母は父が亡くなる前に離婚しており、私は、母の顔も分かりません。
祖母もおりません。
私の祖父は、ギャンブル好きで、最後まで借金三昧でしたが、他に頼るすべもなく、大学に入るまでは、一緒に暮らしていました。
私は、奨学金で大学医学部に入り、その後は、年に1回ぐらいしか祖父と顔を合わせませんでしたが、その祖父も先日、亡くなりました。
当然ながら、祖父には借金しかなく、家も借家です。
これから相続放棄の手続きをしようと思っておりますが、相続放棄手続きとは、どのような手続きなのかが分かりません。
何をすればよいのでしょうか?
また、私が心配する必要はないのかもしれないですが、父には私のほかに、母違いの子が2人おりまして、その子らはまだ未成年と聞いておりますが、その子は相続放棄はできるのでしょうか?
【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~
相続放棄は裁判所に対して行うもの
相続放棄手続きとは、相続放棄をするための管轄の家庭裁判所に対する手続きをいいます。
相続放棄手続きについては、「相続の放棄の申述」として、裁判所のホームページにその概略が載っています。
【参考:裁判所ホームページ】
「相続の放棄の申述」について http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
1)相続放棄をしようとする人の確認
申述人(相続放棄をしようとする人)が成人の場合は特に問題ありません。
しかし、相続放棄をする者が未成年者である場合、自らが法律行為をすることはできないので相続放棄をすることもできません。
相続放棄も法律行為なのです。
そこで、その法定代理人(親、親権者)が代理して申述することになります。
あなたの母違いの兄弟姉妹は、その母親がいるのであれば、その母親が相続放棄手続きを代理して行うことになります。
ただし、
その未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが相続放棄をする場合
複数の未成年者がいる場合に、その一部の未成年者のみを代理して相続放棄する場合
には、
「特別代理人」
というその相続放棄をしようとする未成年者の利益擁護のための代理人を選任する必要があります。
ですが、借金のために相続放棄するようなケースでは、兄弟姉妹の片方のみを相続放棄することは、あまり考えられないので、特別代理人が必要となることはあまりないでしょう。
2)相続放棄できる期間
相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。
「相続の開始があったことを知ったとき」というのは、要するに、その被相続人の死亡の事実を知った日をいいます。
3)相続放棄を申述する管轄裁判所の確認
管轄裁判所は、「被相続人の最後の住所地」、すなわち、「その人が亡くなった場所の住所」によって決まります。
4)相続放棄に必要な収入印紙等の確認
収入印紙は800円ですが、郵便切手は裁判所により異なる為、事前に裁判所に確認してください (電話して聞くか、あるいは、窓口で聞いてください) 。
5)必要書類の準備・作成
◎「相続放棄の申述書」
裁判所のホームページからダウンロードできますので、ダウンロードして記入します。
「相続放棄申述書」のダウンロード
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/10m-souzokuhouki.pdf
「相続放棄申述書」の記入例
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/7427souzokuhouki-seizin.pdf
◎被相続人の住民票除票又は戸籍附票
◎申述人(相続放棄しようとする方)の戸籍謄本
◎その他
申述人(相続放棄しようとする方)が配偶者であるか等により、必要書類が異なりますので、よく必要書類を確認してください。
書類の提出のみでは終わらない
以上が相続放棄手続きの概要ですが、これに加えて裁判所から追加で提出すべき必要書類を指示されることがあります。
また、裁判所から、直接、あるいは間接的に事情聴取・照会等される場合があります。
裁判所からの照会があった場合にはそれに必ず答えなければなりませんし、裁判所から呼出しがあった場合には必ず出頭してください。
ただし、弁護士を代理人として立てている場合には、裁判所とのやりとりは、代理人を通して行います。
ちなみに、司法書士は書類を作るのみで代理人にはなれません。