【ご相談内容】公務員である親が連帯保証していたなんて信じられない

昨年亡くなった母は公務員だったのですが、どうも別れた前夫(私の父親ではありません。)の連帯保証人になっていたようです。

ちなみに、「公務員」というのは具体的には、教職員です。

信販会社から、母の相続人宛として、私に、

「催告 兼 訴訟提起予告通知」

なる書面が送られてきまして、返済をしないと民事裁判を提起する、と言われております。

信販会社も現実に存在する誰でも知っている会社ですし、詐欺的な気はしないのですが、本当に法律上、私がそんなものまで支払わないといけないのでしょうか?

連帯保証人になった経緯は、全く分からないのですが、母が本当に連帯保証人になったことを理解しているのか疑問です。その元夫が勝手にやったとか、母を騙したなどという可能性も否定できないと思っております。

仮に、民事裁判を起こされて、明らかにおかしいしか思えない内容であれば、争うことができるのでしょうか?

一度、役所の無料相談において弁護士に相談してみたのですが、その弁護士からは、

「見通しは厳しい」

「裁判官が連帯保証責任を認めないとは思えない」

「和解するにしても全額支払い義務を認めて、分割にしてもらえるのがせいぜいだろう」

などと言われました。

このまま、仮に、民事裁判を起こされて敗訴した場合には、多額の連帯保証債務を負うことになりますが、そんなお金はありません。

ただ、正直、仮に、そのような判決が出ても、金がないものは仕方がないですから、内心、開き直っています。

ですが、私が亡くなった場合には、この債務も子供たちに引き継がれますか?

全く、連帯保証について争う余地はないのでしょうか?

子供たちは相続放棄はできますか?

【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~

連帯保証人の地位も相続の対象

亡くなったお母さまは、公務員で教職員という、ある意味、堅いご職業だったので、連帯保証人になるなんて信じられない、という感じでしょうか?

ただ、結論から申しますと、「相続」というのは、そもそも、その亡くなられた方の生前の権利・義務を全て承継する(引き継ぐ)といことですので、お母さまが生前「連帯保証債務」を負っていられたのであれば、やはり、その相続人も連帯保証債務を「相続」により負うことになります。

消滅時効が成立していないか要検討

ただ、ご質問で1つ気になるのは、「お母さまが前夫の連帯保証人」で、あなたがその「前夫」のお子さんではないとすると、少なくとも、お母さまが連帯保証人になったのは、離婚後になったというわけではないでしょうから、相当、以前に連帯保証人になったのではないでしょうか?

とするとです、時効(消滅時効)が完成している可能性があります。

信販会社が相手ですから、時効期間は、5年です。

ですので、よくよく、調べてから、かつ、慎重に対応しなければいけませんよ。

消滅時効が中断しないように注意

もし、本当に、消滅時効にかかっている、ないしは、消滅時効にかかりそうだということであれば、相手もプロですから、なんとか、あなたが債務承認をしたという証拠をとりに来ようとするはずです。

しかも、さりげなく、債務承認というのものを、取りにくる可能性が高いので十分に留意してください。

他方で、例えば、最近、ぎりぎりまで、主債務者である前夫が返済をしていたなどの事情で、消滅時効にかかっていないということであれば、やはり、原則に戻って、連帯保証債務の支払い義務があることになります。

場合によっては、つまり、あまりに金額が大きすぎて、相続する遺産よりも多いなどという場合には、相続放棄も視野に入れないといけないかもしれません。

訴訟では依頼者が諦めてはいけない

もし、仮に民事訴訟が起こされた場合は、大変そうです。

そんな単発の無料相談ではなく、きちんとした法律相談を受けることをお勧めします。

有料かもしれませんが、今後のリスクを考えれば、必要な費用ではないでしょうか。

そして、その担当の弁護士さんをよく話し合って、訴訟の見通しの理由を教えてもらったり、今後の訴訟の進め方を慎重に検討した方がよいと思います。

あなたが開き直って、やけになってしまうと、それが弁護士にも伝わって、弁護士も無意識にあきらめモードになってしまう恐れがあります。

ぎりぎりまで、あきらめないでください。

貴方の代で連帯保証責任が認められれば、それが子供にも承継される

それで、その連帯保証債務が貴方の身になにかあった場合(亡くなられた場合)に子供の相続の対象になるかどうかについてのご質問ですが、相続の対象になります。

ですので、相続放棄をしないと、あなたの相続人が連帯保証債務を継承することになります。

民事裁判で争うといっても争える内容があるかどうかは分かりません。

そして、判決が確定してしまえば、どんな内容だろうが、その判決に従わないと、強制執行をされることになります。

債務を相続すると自分の財産も引き当てになる

一旦、相続してしまえば、相続財産に限られず、例えば、あなたの固有の財産も、強制執行の対象になってしまいます。

もし、あなたがそんなに資産を持っていないということで、例えば、相続財産を使ってしまって、いまさら、あなた自身は相続放棄できない等の事情があるのであれば、子供等の相続人の方たちに、あなたがなくなった後は、必ず、相続放棄をするようにと注意喚起しておかなければなりません。