【ご相談内容】住宅ローン特則(住宅資金特別条項)の対象

新潟市内に家があるのですが、実は2つあります。

最初に買った家は、私がまだ独身の頃に買った中古マンションなのですが、結婚を機に新たに広めのマンションを購入しました。

その際に、独身時代の新潟市内の中古マンションは売らずに、貸し出すことにしたのです。

 別に、売ってもよかったのですが、業者の勧めで、家賃でローンを支払い続けられるので、そのまま賃貸に出しております。

実際、毎月、家賃で住宅ローン、管理費を支払い、固定資産税を支払っても少し余剰がでます。

現在のマンションには、子供も2人できまして、親子4人で住んでおりますが、子どもの教育費に加えて、おととし、父親が交通事故を起こしてしまい、その関係で、かなり両親に援助しなければなりませんでした。

父親の弁護士費用とか、示談の費用とかで、両親の生活費がなくなってしまったのです。

私たちも貯金がなく、借りたお金をそのまま貸してあげてしまいました。

その後、支払いが追い付かなくなり、自宅の住宅ローンの支払いも危うくなってきました。

そこで、個人再生ができないものかと思っているのですが、できれば、最初に買ったマンションも今のマンションも維持できませんでしょうか?

その家賃も正直、生活のために使いたいのです。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

住宅資金特別条項の対象に賃貸している(投資用)マンションが該当するか

住宅ローン特則、すなわち、住宅資金特別条項が、仮に、(投資用)マンションの残ローンにも適用できるとすれば、今までと同じようにその家賃をローンに充てて残すことが可能です。

しかし、残念ながら、住宅ローン特則を利用するためには、その住居は、個人再生を申し立てた人が、「居住用」に利用しているものでなければなりません。

ですので、自分が住むためではなく、他人に賃貸するため(投資用)の住居については、住宅ローン特則は使えないのです。

支払停止で賃貸(投資用)マンションのローンはどうなるか

支払い停止

住宅ローン特則の対象でない以上、債権者平等の原則から、個人再生の手続き開始後は支払いをストップしなければならなくなります。

ストップするとどうなるかというと、ローン債権者から、

「支払しないのであれば、そのマンションを売ってその代金を返済に充ててください」

と言われてしまいます。

「いや、支払いしないのではなく、支払いたくてもできないんです。」

と言っても、

「ああそうですか。では仕方ないですね。支払いがなくてもお待ちします。」

と言ってはくれません。

保証会社による代位弁済

そして、支払いを停止していると、そのうち、保証会社に支払いが回されます。

つまり、ローンの保証会社があなたに代わってローンの残債を支払うのです。

「おおよかった。代わりに保証会社が支払ってくれたので、助かった。」

ということにはなりません。

期限の利益喪失による一括弁済

今度は、保証会社から、

「あなたの代わりに支払いをしてあげたので、こちらに一括で返済してください」

「支払いできないのであれば、そのマンションを売ってその代金を返済に充ててください」

と言われてしまいます。

強制競売

それでも支払いをしないでいると、

競売」になります。

つまり、オークションにかけられて強制的に売却されてしまいます。

別除権協定+共益債権として賃貸(投資用)マンションのローンの支払を継続することは可能か

ただし、上記の流れは、法律で決まっているわけではありません。

本当に、ローン債権者が

「ああそうですか。では仕方ないですね。支払いがなくてもお待ちします。」

と言ってくれればそれはそれでよいのです。

ですが、債権者側も商売なのでただ待ってくれたりはしません。

他方で、債権者に支払いがこれまでと同じように支払いを継続できさえすれば、ローン債権者も

不動産を売れ、

とか、

一括返済を求める、

とか、

競売にかける、

とか、しないかもしれません。

ですが、今度は、支払いを継続できる債権に該当するかどうかが問題となります。

支払いを継続することができるためには、その支払いの対象となる債権が

共益債権

と認められなければなりません。

共益債権とは、

・個人再生の裁判費用のための支払い(債権)

とか

・再生手続開始後の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求

とかに該当しなければなりません。

どうでしょうか?

賃貸している(投資用)マンションのローンは、

「再生手続開始後の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用」

と言えるでしょうか?

なかなか、賃貸している(投資用)マンションのローンが、

「再生手続開始後の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用」

に該当するとは、なかなか言い難いのではないでしょうか。

従いまして、結論として、賃貸している(投資用)マンションを維持し続けるのは難しいと言わざるを得ません。

売却は避けがたいと思われます。

ですので、残る選択肢としては、例えば、知り合いに買ってもらうとか、何か別の方法を考えた方がよいと思われます。

なお、現在お住いの住居については、問題なく、住宅ローン条項が使えると思います。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生手続において、賃貸している(投資用)マンションに住宅ローン特則(住宅資金特別条項)が適用されるか、別除権協定を締結して維持できるか?についてご説明致しました。~

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