【ご相談内容】 個人再生・任意整理・自己破産の選択

いろいろ自分なりに調べて、今の借金を整理するについて、

・住宅ローンがあって、住居は手放したくない

・自動車が通勤に必要(中古でローンはない)

ということで、家(自宅)や自動車を売られてしまうと困るので、個人再生をすることができればと思うのです。

ただ、個人再生にもデメリットがあるでしょうから、それを把握しておきたいです。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生以外の債務整理の手続き

債務整理には、

任意整理;債務額をなるべく長期間に繰延する手続きで負債総額はほとんど減らない場合がある

自己破産;債務全額について免責してもらう手続きであるが財産は原則として売却等しなければならない

の手続が個人再生のほかにありますが、それらとの比較において、個人再生のデメリットについて考えます。

個人再生のデメリット1~ブラックリスト

信用情報機関に、個人再生手続開始の事実が5年ないし10年間登録されます。

いわゆるブラックリストです。

ただし、これは任意整理をしても、自己破産をしても、ブラックリストに載ることは避けられません。

個人再生のデメリット2~官報に掲載

個人再生をすると官報に掲載されます。

小規模個人再生をしても官報に掲載されますし、給与所得者等再生をしても官報に掲載されます。

これは、任意整理を選択した場合には、回避できますが、自己破産の場合には同様に官報掲載されます。

官報とは?(官報の意味)

官報とは、国(政府)の広報紙のようなもので、法律の制定、改廃や裁判所からの告知等が掲載されるものです。

官報は紙媒体でも発行されますが、インターネットでも検索可能です。

個人再生や自己破産の情報を官報で検索することもできます。

ですが、官報の検索サービスは有料ですし、弁護士ですら何か目的がないと、漫然と日々更新される官報を見たりはしません。

ですので、官報って見たことない、という人がほとんどだと思います。

自己破産等の官報検索

どうしても気になる方はどのようなものであるかをご自身で確認してみるとよいかと存じます。

国立印刷局 官報情報検索サービス

そうそう、一般の方が目にしたり、官報検索を利用するものではないということがお分かりいただけるかと思います。

個人再生のデメリット3~個人再生の要件

個人再生の要件として「継続的な収入」が必要とされます。

ただし、任意整理の場合には、それを証明することまでは求められませんが、結局、継続収入がなければ支払えません。

他方、自己破産の場合には継続収入がなくても、その時点での債務の免責が得られます。

(その後、どうやって生活していくかの問題は残りますが。)

個人再生利用のための要件は、見方によっては厳しいです。

継続収入も必要ですし、

借金が住宅ローンを除いて5000万円以内であること

住宅ローン特別条項を使う場合には、

他の担保がついていないこと

等の要件があります。

任意整理は、要件という意味では一番、制約が少ないです。

自己破産の場合には、免責不許可事由など、別の要件があります。

個人再生と自己破産でどちらの要件が厳しいかは一概には言えません。

個人再生のデメリット4~手続きが煩雑

個人再生は手続が煩雑です。

任意整理は、書類をいろいろ提出したり、準備したりすることはありません。

自己破産と比べるとどちらも書類としては同じような感じですが、個人再生は、スケジュールに沿って、手続きを進めていく必要があります。

ただし、その点は、弁護士に依頼すれば、あまり自己破産と比較して大差ないと思われます。

個人再生のデメリット5~費用がかかる

個人再生をするには費用がかかります。

ただし、司法書士ないし弁護士に依頼すれば、任意整理でも自己破産でも費用はかかりますし、個人再生だけ飛びぬけて費用が掛かるわけではありません。

個人再生のデメリット6~特定の債務だけを対象にできない

特定の債務だけを対象にできないとは、つまり、この債務については支払わないで債務整理をするけど、この債務については支払うということができないといことです。

任意整理の場合には、この債権者には返して、この債権者の分は任意整理する、ということも可能です。

自己破産の場合には、個人再生の場合と同様に、特定の債務だけ返済するというわけにはいきません。

ですので、例えば、

この債務については連帯保証人がいて、その連帯保証人に請求がいってしまうと困る

という場合には、自己破産や個人再生は使えないということになります。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生後のデメリットについて、他の債務整理との比較においてご説明いたしました~