【ご相談内容】養育費が支払不能と個人再生

数年前に離婚して、新潟の万代にあるマンションは妻に財産分与として渡して、かつ、これまで、というよりも数カ月前までは、きちんと養育費を支払ってまいりました。

私は、一人親方として土建業をしているのですが、離婚した当時は、私の給与も結構あり、養育費を高額で約束しました。

ところが、ここ4,5年前から、どんどん人が集められなくなってきてしまい、それとともに、受注が減ってきてしまい、当然、私の収入も減ってきてしまっています。

それでも、なんとか元妻に対する見栄というか、プライドというか、自分が落ち目になったことを言いたくなかったので、借金をしてでも、支払ってまいりました。

ですが、さすがに、その月々の支払いも借りて返すということ自体も難しくなり、結局、先日、元妻に勇気を出して、現在の私の状況を告白しました。

そして、それ以降、約半年間は、約束した養育費の半額しか支払えておりません。

ところが、妻からは、

「どうせ、ほかの女と遊ぶために金が必要になったんでしょ?」

「あんたの決算書なんて自分でなんとでも書き換えられるでしょ?」

「きちんと、支払いしないのなら、手当たり次第に強制執行する。」

と言ってきました。

ちなみに、強制執行というのは、養育費については公証役場で公正証書というのにサインしたので、それを使って強制執行するということなのだと思います。

もし、取引先の売掛を強制執行でとられたら、私は完全にお終いです。

個人再生をしたら、養育費の強制執行を止めることができるでしょうか?

また、未払いの養育費はどうしたらいいですか?

個人再生をしても養育費は減額されないですか?

個人再生をしたら、養育費は支払わなくてよくなりませんか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生申立てと強制執行

個人再生を申し立てて、その手続きの開始決定が出されれば、それにより、強制執行は中止されます。

ですので、強制執行されて困るということがあれば、早々に個人再生をしなければならないということになります。

ちなみに、個人再生を申し立てると言っても、その申し立て準備にそれなりの時間がかかると思われますので、よく、

「じゃあ、個人再生の覚悟を決めました。申し立ててください。」

「いつ、申し立てていただけますか?明日?明後日?」

などと言われることがあるのですが、それをするなら、よほどの準備が必要です。

そもそも、

申し立て費用の準備がまだできていない、

ということもあり得ますので、そんなに簡単なものではないことを理解しておく必要があります。

いずれにせよ、早く申し立てをして、早く開始決定を出してもらう、ということが大事です。

個人再生と未払い養育費の問題

未払い養育費については、あなたから見れば、元妻が債権者と言うことになります。

そして、債権者が有している債権については、個人再生手続きの中では、その債権について一部免除(債務圧縮)されるのですが、養育費債権については、一部免除(債務圧縮)されないということになっております。

ですが、それを支払ってよいかというとそれはまた別です。

再生手続き期間中においては、未払い養育費も、他の債権者が一部免除(債権カット)されているのと同様に、未払い養育費債権者、つまり、元妻も、債権カットされた金額しか受け取ることができません。

できないのですが、それは再生手続き期間中に限った話です。

再生手続き期間が終了したら、一括して残額を支払わないといけないのです。

分かりにくいですよね?

個人再生の再生期間中の具体例

例えば、未払い養育費が開始決定の時点で180万円あるとします。

それで、債権総額のカット率が80%であるとします。

そうすると、未払い養育費については、同様にカットされた残額36万円のみを再生計画に示された返済期間(原則、3年)に支払います。

そうすると、3年(36カ月)間は未払い養育費を月々1万円ずつ支払います。

ですが、残額の144万円は、3年経過後に一括して支払わないといけないのです。

個人再生と今後発生する養育費の問題 

上記に述べたのは、「未払い」養育費の問題であって、養育費の支払い義務というは、毎月発生します。

それこそ、個人再生の開始決定があった後も、養育費の支払い義務は毎月発生します。

個人再生手続の開始決定後に、支払期限がやってくる養育費債務については、

共益債権

といって通常の債務が支払いをすることが禁止されるのと異なり、随時支払うということになっております。

ですので、個人再生の支払い手続きで一部債務免除(債務圧縮)された残額分の支払いに加えて、養育費を支払うことになるのです。

従いまして、それが難しいということになりますと、全体として履行可能性がないということで、

「再生計画が遂行される見込みがないとき。」

に当たるとして再生計画(返済計画)案が認可に至らない可能性もあり得ます。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生と強制執行の関係及び個人再生と(未払い)養育の関係について、具体例とともに、ご説明いたしました~

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