【ご相談内容】個人再生をしても免除(減額)されない債務(債権)

数年前に新潟市内で交通事故を起こしてしまいました。

新潟市内で左折しようとしたら、後ろからきたバイクを巻き込む形になってしまいました。

しかも、お金がもったいなかったので、任意保険に入っておらず、自賠責だけでは足りず、多額の損害賠償金を支払うことになりました。

今も、少しずつ支払ってはいますが、払えたり払えなかったりです。

というのも、この交通事故をおこしたことで、裁判をおこされ、夫婦仲が険悪になってしまい、妻が子供を連れて新潟の三条にある実家に帰ってしまいました。

養育費を支払う、と約束はしたものの、要求されている金額がかなり大きいです。

しかも、妻からは、それまで妻の実家から出した金も返せ、ということも言われるようになりました。

正直、もはや、キャッシングやおまとめローンも含めて、目いっぱいの借り入れをしてしまっております。

なので、あらゆる支払いを含めると月々の返済額が莫大で、養育費の支払いも滞りがちになってきており、そのうち妻から離婚調停をおこされると思います。

そのうち妻からは慰謝料も請求されるのではないかと心配しています。

正直、もう生きていても仕方がない、とも思ったのですが、友人から、自己破産で整理したらどうかと勧めてくれたので、一緒に、弁護士事務所に相談に行きました。

ところが、私の交通事故の損害賠償金や養育費(離婚していないので「婚姻費用」というそうですが)は、一切、自己破産をしても免除されないと聞きました。

がっかりして帰りましたが、さらに友人がいろいろ調べてくれて、自己破産で免責されなくても、

「個人再生という手続きがあり、これを行えば、全額を免除してもらえなくても、半分以下に免除される」

と教えてくれました。

個人再生ができれば、たしかに、支払いを大幅に圧縮して、無理なく、各支払いをしていける自信はあるのですが、私の場合でも大丈夫でしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

非減免債権(非免責債権)~個人再生をしても減額されない債権

誠に残念ですが、自己破産の場合と同様、個人再生手続きにおいても、減額が認められない債権というのがあるのです。

そして、個人再生をしても減額が認められない債権(非減免債権ないし非免責債権)というのは、具体的には、次のような債権(債務)です。

悪意で加えた不法行為に戻づく損害賠償請求権

不法行為によって他人に損害を与え、損害賠償支払義務を負っている場合ですが、それが「悪意」であった場合に限定されます。

悪意」と「故意」とは違います。

害意」又は「他人を害する積極的な意欲」とされますが、一義的なものではありません。

よく、

不貞の慰謝料は悪意だから免責されない

などと言われますが、

不貞行為がもっぱら、配偶者に精神的苦痛を与えることを目的としてなされた

のであればともかく、そのような事例はあまりないでしょう。

ですので、不貞慰謝料(損害賠償)が

「悪意」(害意)で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

に該当する場合はあまりありません。

再生債務者が故意又は重大な過失によって加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

交通事故(人身)などがこれに当たります。

夫婦間の協力・扶助義務、婚姻費用分担義務、子の監護に関する義務に関わる請求権

婚姻費用・養育費などがこれに当たります。

こういうものについては、残念ですが、たとえ個人再生手続きをとったところで減額してもらえないのです。

個人再生における非減免債権(非免責債権)の取扱い

従いまして、あなたの交通事故の損害賠償義務ですとか、婚姻費用の支払い義務については、個人再生をしたとしても支払わなくてはならない債務になります。

ただし、その取扱いについては、再生計画の返済期間(3年ないし5年)の間は、他の債務と同様に、何割かカットした金額だけを支払います。

例えば、8割カットされる場合ですと、残りの2割を3年ないし5年の間に支払います。

しかし、これで終わりというわけではなく、そのカットした8割については、3年ないし5年が終了した段階で、一度に支払わなければなりません。

交通事故の損害賠償義務をどうするか?

ですので、再生期間中にコツコツお金をためて、カットされた8割分を3年後ないし5年後に支払えればよいですが、そのようなことは通常不可能です。

従いまして、個人再生と合わせて、民事調停などを利用して、別途リスケすることをお勧めします。

例えば、再生期間終了後も、同様の割合で返済を続ける等の支払方法の変更をする調停です。

婚姻費用支払義務をどうするか?

今後の離婚調停ないし裁判にもよりますが、婚姻費用の支払いが実際に難しくなっており、破産ないし個人再生をしなければならない事態にまでなっているのですから、こちらも調停(婚姻費用減額調停)を申し立てるべきです。

そうしないと、いつまでたっても未払いが増え続けるだけです。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生をしても免除されない債務(債権)について、交通事故に基づく損害賠償義務ないし婚姻費用の滞納についての整理も含めて、ご説明致しました。~

http://xn--gmqw5ae7af47bf8kkmi.xyz/%E5%85%A8%E7%9B%B8%E8%AB%87%E4%B8%80%E8%A6%A7