【ご相談内容】給与所得者等再生の最低弁済額と政令で定める生活費
前回に引き続き、 新潟市内で美容室に勤めている者ですが、個人再生につき、ご相談です。
最大の債権者というか、お金を貸してくれた人が、おそらく、私がお金は返せないというと、絶対にあらゆる反対をしてくると思います。
ですので、書面決議がある小規模個人再生は難しいと思います。
したがって、前回、少し説明してもらった給与所得者等再生をするしかないと思っています。
ですが、いまだに、可処分所得というのがよく分かりません。
住んでいる場所によって、生活費が決まるのですか?
例えば、同じ新潟県でも新潟市と長岡市では違うというのでしょうか?
交際している男性はおりますが、結婚はしていません。
子供もいません。
そういう事情はどう影響してきますか?
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
給与所得者等再生とは?
個人再生には2種類の手続があり、1つは小規模個人再生というもので、もう1つが、
【給与所得者等再生】
という手続きになります。
こちらは、サラリーをもらっている会社勤めの方のように、収入の変動幅がそれほど大きくなく、安定した収入が見込まれる人が利用できる手続きになります。
給与所得者等再生の要件
給与所得者等再生を利用することができる要件について、まとめますと、
・給与などの定期的な収入があり、その変動幅が小さい
・可処分所得の2年分以上を最低返済額として返済する(可処分所得要件)
ということになります。
小規模個人再生には、このような可処分所得要件がありませんので、通常は小規模個人再生の方が、返済額が少なくて済むのです。
それでも敢えて、給与所得者等再生を選ぶ方がいるというのは、
給与所得者等再生場合は、債権者による書面決議という手続きをとらなくてもよいからです。
小規模個人再生の場合、書面決議をしなければならず、そこで、債権総額の半額以上を占める債権者が反対すると、再生計画がそこでストップします。
そのため、書面決議を経なくてもよい給与所得者等再生を選ぶとすると、今度は、可処分所得要件がかかってくるのです。
可処分所得が計算上多いと返済額が大きくなる可能性が出てきます。
新潟市在住の方の政令で定める生活費(可処分所得計算)
年間のあなたの生活費を今からご説明します。
新潟県新潟市にお住まいなら、 政令で 「第三区」と決められています。
個人別生活費
同じく政令で「第三区における個人別生活費の表」というのがあります。
例えば、あなたが、二十歳以上四十歳未満なら(年齢によって変わります) 、
生活費の額は、 四十五万四千円(45万4000円)
世帯別生活費
第三区における世帯別 (※世帯における扶養人数が増えると大きくなる) 生活費の額は、四十八万円(48万円)
勤労必要経費
年収二百万円以上なら、第三区の勤労必要経費は、五十万五千円(55万5000円)
生活費合計
以上を足した金額143万9000円が、あなたの年間の生活費です。
住居費
ただし、住居費は別で、住居費の表では、新潟市は、第三区で、一人、四十一万九千円(1カ月当たり約3万5000円)があなたの住居費です。
冬季特別生活費
さらに、新潟は寒いので、冬は暖房代とか、かかりますよね。
なので、冬季特別地域の区分としては、岩手県、山形県と同じく新潟県は、第二級地とされます。
そして、第三区における冬季特別生活費は、第二級地で八万円がプラスの冬の特別費です。
現実の生活費との違い
以上、合計193万8000円があなたの年間の生活費です。
「ちょっ、ちょっと待って、それだけじゃ生活できない!」
「そもそも家賃が3万5000円じゃないし。」
と言いたいですよね。
ですが、政令でそのように定められており、現実の生活費のことは考慮されないのです。
具体的な可処分所得の計算
お手元に直近2年分の源泉徴収票をご用意ください。
税引き前の支払金額が年収で、そこから、
「所得税」
「住民税」
「社会保険料」
を差し引きます。
その差し引いた額の2年分の合計が、あなたの2年間の手取りになります。
ですので、それを2で割れば1年平均の手取りがでますよね?
そこから 政令上の 「あなたの生活費」を引いた額が可処分所得額です。
この金額の2年分が最低弁済額の基準になるというわけです。
給与所得者等再生の最低弁済額
ただし、給与所得者等再生の最低弁済額は、何も可処分所得要件だけではありません。
2年分の可処分所得以上である必要もありますが、さらに、債務総額を一定割合で免除した金額以上である必要もあります(債務総額基準)。
清算価値基準と言って、再生手続きを開始する時点において有している財産相当額以上である必要もあります。
ですので、もともと、債務総額基準ないしは清算価値基準の方が高いという場合には、可処分所得要件といったところで、実は、あまり意味がないのです。
ですので、その場合、給与所得者等再生の方がいいかもしれないです。
いずれにせよ、きちんと生活な数字を用いて計算した方がよいです。
ただし、安定収入の要件もあるので、そちらもお忘れなく。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、給与所得者等再生とは?について、新潟市在住の方の政令で定める生活費、具体的な可処分所得の計算、給与所得者等再生の最低弁済額も含めて、ご説明致しました。~