【ご相談内容】税金(住民税・消費税)の滞納について

新潟市内で建築工事の請負をやっていますが、会社にはしておりません。

お取引先は、ずっと、これまた新潟市内にある2次下請け一社専属でやってきたのですが、今回、その先の元請けが飛んでしまいました。

民事再生だそうです。

そのため、2次下請けも相当なダメージを受けたらしく、同じく民事再生か悪くすれば破産だそうです。

2次下請けの担当者も今後どうなるか分からないと言う始末です。

正直、私も、解体、足場、基礎、電気工事等の協力業者さんや材料屋さんに対する返済に窮しています。

皆さん、地元ではそこそこのニュースなので、事情は分かってもらえますが、

「お宅も苦しいかもしれないが、うちはもっと苦しい」

「そうは言っても、うちはお宅としか契約していないんだからお宅に言うしかない」

等々、言われて、結局、無理して支払いをしてしまいました。

そして、その代わりに、今度は、銀行借入や、銀行カードローンを増やしてしまいました。

このまま、やっていける気がしません。

しかも、今度、住民税や消費税の支払いもしなければなりませんが、これも多分支払えません。

民事再生(私の場合には、個人再生?)をすれば、仕事をしながら借金の整理ができる、

と聞きました。

具体的には、私はどう動けばよいでしょうか?

最終的には、税金も免除にしてもらえますか?

なお、その新潟市内にある2次下請けは、まだ潰れたわけではありませんが、はっきりとした情報が入ってきません。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

民事再生(個人再生)による減免と住民税等の税金

結論として、個人再生をしても、ついでに言うと、たとえ自己破産をしたとしても、税金は一切、減免されません。

個人再生で減免される債権は、税金や保険料等以外の借入金だとか、買掛金だとか、そのような一般債権のみです。

ですので、税金(住民税・消費税)を何とかするため個人再生をしても、一切メリットがありません。

ですので、おそらく、あなたは、税金の支払いをしないまま、他の業者さん等にお支払いを優先させてしまったのでしょうが、個人再生の減免効果のことを考えれば、それは順序が間違えています。

むしろ、税金を先に支払っておけば、その他の外注費、下請報酬、人工代、材料の買掛等は、個人再生をすれば、その債務(負債)額を大幅にカット(免除)してもらうことができたのです。

ただし、これは、に個人再生という手続きないし法的観点からのお話です。

あなたにとってみれば、それらの業者さんへの支払いをストップしたり、個人再生でその支払額をカットしたりすれば、当然ながら、その業者さんたちとはそれまでです。

今後、何か新規に仕事を依頼したり、新規に仕入れをしたいとしても、二度と協力してくれることはないでしょうから、あなたにとってみれば、それは今の業界から退場するも同然だと感じたのでしょう。

お気持ちはよく分かりますし、おそらく、そのようになっていたでしょう。

税金(住民税・消費税)の滞納にどう対処すべきか

税金の滞納については、対処方法ってあまりないのです。

ただ、支払わないで放置して逃げ回っていると、延滞金がどんどん嵩んで、しかも、常に、滞納処分(差押え)の危険にさらされて生きていくことになります。

ですので、一刻も早く、税務署ないしは、県や市と話をして、分割払いの協議をしてください。

対応するにしてもそれぐらいです。

(※ただし、税金も3年ないし5年で時効にはかかる場合はあります。)

個人再生を開始した後であっても、一般優先債権は、再生手続きによらないで、随時返済することになっているのですが、何を隠そう、この一般優先債権というのが、国税や地方税なのです。

税務署や県や市も、分割払いの申し入れ自体を全く聞き入れないというわけではないので、まずは、話をしてみることです。

ですが、要注意事項があります。

滞納処分と強制執行は違います

先ほど、述べたように、税務署(国)、地方自治体(県、市等)は、滞納処分(差押え)ができます。

この滞納処分というのは、ただの強制執行とは違います。

強制執行の場合には、その前提として裁判手続きがあるのですが、滞納処分の場合には、裁判なしでいきなり、その人を財産を差し押さえることができるというとても強力な権利です。

そして、その差し押さえの対象は、現金、銀行預金のみならず、給与、報酬、不動産、自動車、生命保険、売掛金等の多岐にわたります。

あなたとしては、胸襟を開いて、取引先が倒産に瀕しており、キャッシュが回らないこと等を相談したつもりでも、相手から、

「そうですか。」

「そうしましたら、あなたの今の資産状況を踏まえて、どの程度の分割に応じられるか、検討します。」

「ですので、あなたの財産(資産)状況について情報を開示してください。」

と言われて、

「そうか。」

「役所でも話が分かってくれる人がいる。」

「嬉しいな。」

と財産(資産)状況を包み隠さず、情報を開示たところ、取引先にガツンと売掛金の差し押さえ(滞納処分)が入ったなどという事例もあります。

取引先に滞納処分をされると危険

取引先からは、

「お宅、税金滞納しているの?」

「本当は潰れそうなんじゃないの?」

などと疑われて取引中止になることもあり得ます。

いくら、国(税務署)や地方自治体(県、市等)に、

「ひどいじゃないですか!」

「私から情報を引き出すために騙したのですか!」

と文句を言っても始まりません。

国(税務署)や地方自治体(県、市等)にしてみれば、

「別に、騙してません。」

「検討した結果、財産(資産)があるのでそこから回収しただけです。」

「もともと、滞納したそちらの責任でしょ?」
 
と言われてお終いです。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生の減免効果と税金(住民税・消費税)および税金(住民税・消費税)の滞納にどう対処すべきかについて、ご説明致しました。~

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