【ご相談内容】代表取締役の個人の債務の整理(個人再生)

住んでいるのは、新潟県南蒲原郡田上町というところですが、会社は新潟市内にあります。

私が代表取締役社長をやっていますが、社長と言っても、従業員わずか5人の小さな会社です。

世間から見れば何を言っているんだということなのでしょうが、こんな小さな会社でも、従業員の指導がきちんとできなくて、みんなやりたい放題で、仕事はあるのに、ブラック企業だと言われるのが嫌で、仕事をうまく配点できなくて、ずるずると売り上げを落としてしまいました。

もっと仕事しろ!会社をつぶす気か!とか本当は要所要所で言うべきでした。

新しい仕事が入っても、

「自分は今ので手いっぱいなんで」

「親が体調が悪いんで面倒見ないといけないんで」

「共働きで家事をしなきゃいけないんで」

等々、言われ、結局、社長なのに私が全部、抱え込んで、誰にも仕事を回せないできました。

それでも、私が働いていても、平気で帰る従業員にも笑顔で

「お疲れ様」

と見送ってきました。

給与も下げませんでした。

むしろ、多少ですが、やる気を出してほしくて毎年昇給していました。

何もかもこれまでは、全部、受け容れてきましたが、もはや限界です。

昨日、私も感情的になってしまいましたが、売り上げデータを机にたたきつけて、社員全員にこれまで私がため込んできたものを全部、吐き出しました。

泣く者あり、無表情な者あり、ふてくされた表情をする者あり、でした。

本当に、こんな会社続けられません。

実際に、もう来月末の支払いは無理です。

突然、大きな仕事が入って、その半金でも入ってくれば別ですが、奇跡でもおこならない限り無理です。

会社は破産しかありません。

ただ、うちの会社は、金融機関からの借り入れがなく、会社の債務は全部、買掛金なのです。

私個人の借金もありますが、それは純粋に住宅ローン、車のローン、あとは生活費が足りなくて借りたカードローンだけです。

ただ、買掛金でも、会社が破産したら社長の私に責任をとれと言われはすると思います。

ですが、もう、私は社長をする気はないというか、人を使うことができないと悟りましたので、これから、知り合いの会社に籍を置かせてもらって、フルコミッションで仕事する予定です。

社員は、もちろん、解雇になります。会社都合なので、失業保険もでるでしょう。

愚痴になってしまいましたが、質問の趣旨は、会社が破産したら、代表取締役社長である私も破産しないといけないのでしょうか?

住宅ローンを支払いながら、個人再生するのは無理なのでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

会社が破産した場合には、セットで代表取締役社長も破産しないと駄目なのか?

「社長が責任取れ!」

「会社の責任は代表取締役の責任だろう!」

等々、債権者から責められることはよくあるのですが、

ここに言う責任は、法的な責任とは違います。

経営責任とか道義的責任とかいう類のものです。

通常は、会社が破産する場合には、銀行融資が絡んでおり、銀行融資がある場合には、必ずと言っていいほど、代表取締役社長は連帯保証をとられているので、結局、代表取締役社長も自己破産することが多いのです。

ただ、稀に、御社のように、会社のみが債務超過という事もあるのです。

もちろん、その場合に、例えば、会社の金を使い込んだ等の事情があれば、会社から、正確に言えば、会社の破産管財人から損害賠償請求をされることはあり得ます。

普通に売り上げが立たなくなったのであれば、会社の債務をそのまま、代表取締役社長個人が負わされることはありません。

債務を負わされないという事は、すなわち、会社と一緒になって破産しなくてもよいということです。

ただ、現実問題としては、代表取締役社長は無傷で、会社だけ破産させると言っても、破産を申し立てる際の窓口となるのは代表取締役社長ですから、会社の破産の手続きを実際に行う必要があります。

もちろん、具体的には、会社の破産の申し立て自体は、弁護士に依頼するのでしょうが、裁判所や破産管財人の面談に出たりとか、必要書類をだしたりとか、債権者集会に出席とかが必要です。

会社の破産と代表取締役社長の責任のまとめ

長くなりましたが、つまり、

(1)会社が自己破産したら、代表取締役社長が、個人として責任を負わなければならない!ということはない。

※会社は法人で、代表取締役社長は個人であるので、法的には別人格である。

(2)代表取締役社長は、会社の自己破産手続きを窓口として行う義務はある。

※代表取締役は代表者なので、会社の対外的な代表権を有し、会社のの機関として働かなければならない。

(3)会社の債務について代表取締役社長が個人の連帯保証をしていれば結果として会社の責任を個人で負う。

※連帯保証人として個人で支払いができればよいですが、そうであれば通常、会社は破産しないで済む。

ということです。

あなたは、会社と一緒になって破産する必要はありません。

会社の破産と代表取締役社長個人の個人再生

あなたは、個人的に、住宅ローン、車のローン、銀行カードローンがあるので、その債務を整理する必要があるとのことですが、その整理の方法は、ご自身で選択すれば大丈夫です。

住宅ローンを支払いながら住宅を確保するというのであれば、個人再生か任意整理(リスケ)ができます。

ただし、個人再生の場合には、車のローンを支払うことは出来なくなると思われるので、車は別途の対応が必要になるでしょう。

なお、フルコミでお知り合いのところで間借りして仕事するという事であれば、給与所得ではないでしょうから、小規模個人再生という手続きを選ぶ必要があります。

小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類があるのですが、小規模個人再生の場合には、書面決議というものがあり、債権者の過半数が個人再生に反対してくると個人再生がそこで潰れてしまいます。

正確には、

債権者総数の半数以上の債権者が再生計画案を不同意とした場合、
  
あるいは、

不同意をした債権者の債権額が、債権総額の半分を超える場合、

は裁判所が小規模個人再生の再生計画案は認可しないのです。

その点と、そもそも、これからフルコミで仕事するという事なので、個人再生できるほどの収入を継続的に確保できるのか?

というのが気になる点ですね。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、会社の破産と代表取締役社長個人の責任、および、代表取締役の個人の債務の整理(個人再生)について、ご説明致しました。~

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