【ご相談内容】生前の借金と親子関係について
父親の借金がどこまで子供に影響するのでしょうか?
父親が亡くなったら、その借金は放棄できるんですよね?
ただ、問題は生きている間のことです。
父親があちらこちらから借金をしているんです。
クレジットカードとか消費者金融とか、あとは、クレジットカードでショッピングしてそれを現金にするやつとか、仕組みはよく分からないですが、とにかく、借りまくっています。
ただ、不動産関係の仕事をしているので、いつも口癖のように、
「そんなものデカいの1つ当てればすぐに返せる!」
と言います。
私は、父親の借金まで背負う気はもちろん全くありません。
今でも、たまに、
「来月のローンの支払がちょっと厳しいから、利息付けてやるから貸してくれないか」
とか、
「今度、知り合いと事業をやるのに、こちらも少し資金用意しないといけないから、お前も出資しないか」
とか、
「お前もサラリーマンじゃいつまでも会社にこき使われるだけだから、いっそのこと独立しろ。おれが経理やって、安い金利で金を引っ張ってやる」
とか、そんなことばかりです。
貸したお金の額は大したことはないのですが、例えば、私のローンの審査に影響を及ぼされたりとか、変な影響がないかだけが心配です。
結婚を控えているんですけど、そのあたりも心配です。
よろしくお願いします。
【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~
親が亡くなった時点で借金があれば相続放棄
まず、おっしゃる通りで、親が亡くなった場合には、親に借金があったとしても、相続放棄をすれば、その借金を負うことはありません。
そして、問題は生きている間ですよね。
ただ、例えば、親の借金があなたのローンの審査に影響を及ぼすことはないですし、あなたと親とは法律上、全く別の責任主体ですので、親の借金の支払い義務をあなたが負わされることはありません。
親が借金まみれだと事実上どんな迷惑があるか?
他方、事実上の影響が全くないとはいえません。
結婚についても、例えば、その婚約者や婚約者の親が、あなたの親に借金があると知ってビビってしまって、
「苦労するから結婚はとりあへず様子見にしましょう。」
などという可能性はあります。
親に代わってあなたが借金を支払わなければならないということはないのですが、もし、あなたが親と同居している場合は大変かもしれません。
家に、どんどん、請求書、督促状、内容証明郵便、裁判所からの通知書、呼び出し状、が送られることはあります。
電話もかかってくるかもしれません。
あとは、
「クレジットカード貸してくれないか?」
「代わりにどこかで金を借りてそれをこちらに回してくれないか?」
などと言われるかもしれないです。
不用意にお金をどこかに置いておくと、ひょっとすると、、、、。
ですので、全く、何もないとは言い切れません。
ですが、毅然と対応して、カードを貸したり、名義貸しをしたり、しないようにしてください。
親子の縁を切る法律はない
例えば、夫婦関係の場合には、離婚をすれば、縁が切れて赤の他人に戻れます。
これは、もともとが他人だからです。
しかし、親子は、生まれながらにして、親子であって、これを他人にする方法がありません。
よく、
「お前なんか勘当だ」
「もう、親子の縁を切ったので」
「あの家を出て絶縁しました」
などという言い方をしますが、別に、これらは、法的に親子関係を解消したものではないのです。
単に、気持ちの問題として、行き来をしない、交流しない、ということを表しているにすぎません。
ですが、このようなことを言ってしまうと絶望してしまう方もいるかもしれないので、言っておきますが、親子だからと、子が親からの迷惑を受け続けなければならないという法もありません。
嫌なら、交流しないというのもアリなんです。
「子供のくせに親をないがしろにしやがって!」
などと、しつこく接触等を要求されても、応答しなければならない義務はありません。
「でも、扶養する義務が・・・」
と心配される方もいますが、理不尽に経済的な負担だけを負わされる必要はありません。
最終的には家庭裁判所の審判もありますし、そもそも、子供に迷惑かけておいて扶養を求めるなんていうのは権利濫用にあたるおそれもあるのです。
親を虐待したりしてはいけませんが、親だから子に何をしても良いというわけでもありません。
とにかく、保証人の依頼とか、名義貸しとか、実際にその場ではお金を出さなくても後で大迷惑なことになるようなことに協力してはいけません。
相続放棄だけでは済まされなくなりますからね。