【ご相談内容】住宅資金貸付債権・非減免債権・自認債権
住宅ローンの支払いが大変なので、新潟のとある市の無料相談で司法書士に個人再生の相談を行ったところ、住宅ローンは、個人再生をしても一切免除されない、と言われてしまいました。
他にも、カードのキャッシングや、車のローンの支払いもありますが、それらはなんとか支払って行けます。
ただ、司法書士さんからは、逆に、カードのキャッシングや車のローンであれば、免除される、と言われました。
この司法書士さんの説明って合っていますか?
個人再生ではどのような債権でも免除の対象になるのではないでしょうか?
住宅ローンの取り扱いも含めて教えてください。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
(個人再生における)基準債権とは?
その司法書士さんが言っていることは合ってます。
個人再生手続き上、申立人の債務を計算して、そこから、基準に従って、債務を一部免除(債権カット)して、その結果、算出された最低弁済額を3年ないし5年をかけて返済していくことになります。
そして、最低弁済額の基準となる債権のことを「基準債権」といいます。
どのような債権が基準債権となるか?というと、
無異議債権と評価済債権から
別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額
及び
民事再生法84条2項各号に掲げる請求権
を除いたもの
をいいます。
(無異議債権+評価済債権)-(別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額+民事再生法84条2項各号に掲げる請求権)
とても分かりずらくて申し訳ないですが、要するに、債務者が異議なく認めた債権やきちんと評価(査定)された債権が基準となります。
そして、そこから、例えば、車のローン債権のように、車を引き揚げてその中古車代金を差し引いた債権
とか、
個人再生手続きを開始した後に発生した利息や遅延損害金
を差しひいたものです。
特例としての住宅資金貸付債権・非減免債権・自認債権
(1)住宅資金貸付(住宅ローン)債権
住宅資金(住宅ローン)特別条項を利用する場合の住宅資金貸付(住宅ローン)債権は、通常の債権とは異なり、最低弁済額を判断する基準になりません。
この債権については、個人再生における住宅資金特別条項で定める内容(住宅ローン契約書等)に従い、弁済方法等が決まってきます。
ちなみに、個人再生の手続の中で最もよく利用されるのが「小規模個人再生」という手続きなのですが、この「小規模個人再生」においては、書面決議といって、裁判所の判断の前に、債権者における決議があります。
しかし、住宅ローン債権者は、そもそも、全額弁済を受けられるので、債権者としての議決権がありません。
(2)非減免債権
養育費債権等は、性質上、そもそも、非減免債権と言って、債権カットの対象とならない債権とされております。
ただし、個人再生手続きにおける返済期間中においては、他の債権と同様の扱いを受けます。
ですので、最低弁済額を判断する基準になります。
この非減免債権は返済方法が、少し、ややこしいです。
再生期間中は債権カットした残額分だけを返済します。
しかし、返済期間が終了した後は、そのカットされて返済が留保されていた分の金額を一度に支払わなければならないのです。
(3)自認債権
自認債権とは、債権者からは請求がなされていないのに、債権認否(債権を認めるか認めないかの手続)の際に、再生債務者が自ら認めた(自認した)債権のことです。
自認債権は、債権カットの対象にはなるのですが、最低弁済額を決めるための基準債権には含まれません。
小規模個人再生における議決権もありません。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生における債務免除の対象となる債権について、基準債権・住宅資金貸付債権・非減免債権・自認債権の意味内容も含めて、ご説明致しました。~