【ご相談内容】個人再生後の(住宅)ローン

個人再生後のローンは組めますか?という疑問に対して、

”個人再生をして完済になった場合は、完済から約5年ないし7年の間は、事故・完済と記録されますが、それが消えれば、すなわち、個人再生の完済から約5年ないし7年後に新規のローンが組めます。”

と教えられたのですが、それで正しいのでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生による信用情報の嘘・デマ

その「個人再生の完済から」、とか、「7年」という数字とか、本当によく聞くんですけど、誰がそんなこと言っているんでしょうか?

その人に直接会って、

「何を根拠にそんなこと言っているんですか?」

と聞きたいんですけどね。本当に。

個人再生による信用情報機関への登録

まず、

1)信用情報機関については、3つあること

2)そのうち、1つは銀行系で、他の2つは非銀行系(クレジットカード、消費者金融、信販系等)であること

3)個人再生については、取り扱いが、3つの信用情報機関でそれぞれことなること

を知ってください。

1)非銀行系の信用情報機関には5年登録される

個人再生とJICCへの登録

そして、非銀行系の1つである、株式会社日本信用情報機構(JICC)には、

発生日から5年を超えない期間

登録されるとあります。

〈「情報区分」 「異参サ」※ 「注意情報」〉

※「異参サ」とは、「動情報」、「考情報」、「ービス情報」の頭文字をとったもので、

【支払い遅延】

【債務整理・法的手続き等の事由発生】

あるいは、

【消費者保護】

または、

【加盟会員の与信補足】

のための情報です。

参考:株式会社日本信用情報機構(JICC)ホームページ

「信用情報記録開示書の見方について」

https://www.jicc.co.jp/file/kaijikoumokusetumeisyo_mikata_201810.pdf

そして、発生日というのは、「個人再生手続開始決定があった日」を指します。

要するに、開始決定から5年間は、

当該【個人再生(民事再生)が申し立てられたという事実】

(例:「民事再生申立 H25/2/15」)

が掲載され続けます。

個人再生とCICへの登録

ちなみに、非銀行系の信用情報機関としては、株式会社シー・アイ・シー(略称:CIC)という機関もあります。

そして、CICではこのような個人再生がなされた事実は登録されません。

このことは、CICのホームページ( 【よくあるご質問】 )でも確認できます。

【よくあるご質問】
『裁判所へ特定調停や民事再生を申請した場合、および弁護士・司法書士に債務整理を依頼した場合、自分の信用情報にその事実がコメントとして登録されますか?』

特定調停や民事再生の申請および債務整理を依頼した事実に関するコメントは登録されません。

CICに登録される信用情報は、消費者と当社の加盟会員であるクレジット会社等とのクレジットやローン取引に係わる申込内容や契約内容、支払状況などの客観的事実に限ります。

また、CICに登録される信用情報には過払い金返還請求や、弁護士等が介入した旨をコメントするような登録項目はありません。

JICCとCICの双方加入・情報交換

ですが、JICCとCICは、別個の信用情報機関ですが、双方に加盟しているクレジットカード会社や消費者金融の会社は多いです。

また、そもそも、相互の信用情報機関同士で、情報を交換するネットワークがあるのです。

したがって、どちらか一方に登録されれば、効果としては他方でも登録されたと考えてよいでしょう。

ですので、例えば、割賦販売のローンを組むとか、自動車ローンを組むとかの場合ですと、5年間はおそらく難しいということになります。

2)銀行系の信用情報機関には官報情報として、
10年、 登録される

銀行系の信用情報機関として、

「一般社団法人全国銀行協会(全銀協) 全国銀行個人信用情報センター

がありますが、全銀協では、官報情報が10年間掲載されます。

参考:一般社団法人全国銀行協会(全銀協・JBA)
               
      全国銀行個人信用情報センター ホームページ

登録情報記録開示書の見方について

https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/pcic/open/kaiji_viewpoint.pdf

上記は「破産手続開始」の例ですが、個人再生でも、個人再生手続き開始決定が官報に掲載されます。

「個人再生手続き開始決定」から10年間、全銀協の信用情報に登録されることになります。

ですので、例えば、住宅ローン等の銀行取引にかかわるローンの場合には、10年間はおそらく難しいということになります。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生後のローンは組めるのか?について、巷で流れる噂の真偽も含めてご説明いたしました~

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