【ご相談内容】民事再生(個人再生)の目的・手続き

民事再生手続きとは?どのような手続きを言うのでしょうか?

民事再生手続きは、倒産や破産とはどのように違うのでしょうか?

観光協会や商店街でのフリーペーパーの発行、小規模店舗のM&Aのコンサルのお仕事をしております。

社員は私と、共同パートナー1名と、事務スタッフ、営業スタッフそれぞれ1名の合計4名でやっております。

まだ、法人化はしておりません。

仕事は大儲けはできないですが、地道に売り上げは上がっていたので、少し油断したのですが、M&Aのコンサルのお客さんで、資本が足りないというので、スポンサーを探しました。

思ったようにスポンサー集めが上手くいかず、そのビジネス自体は将来性があると思いましたので、私とパートナーがそれぞれ、そのお客さんの会社に投資をしましたところ、その会社の社長が、とあることで、逮捕されてしまいました。

その会社を立て直すことができればいいのですが、その投資先は、社長の人脈で持っていたようなところがあり、正直、難しいです。

借入金をその投資先に回してしまったので、運転資金が足りなくなり、また、追加で借り入れをしました。

ところが、運悪く、売り上げが立たない時期が続いてしまい、みんなの生活もあるため、さらに借り入れを増やすという最悪の事態になってきています。

フリーペーパーの部分の売り上げ自体はあるので、何とか続けて、できればこちらを収益の中心にしたいです。

破産する気はありません。

民事再生手続きというのはできないでしょうか?

民事再生手続きというのはどのような手続きなのでしょうか?

その場合には、私とパートナーと一緒に手続しないと駄目なのでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

民事再生手続きとは

民事再生手続きとは、民事再生法上の規定にしたがって言いますと、

経済的に窮境にある債務者について、

その債権者の多数の同意を得、

かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、

当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、

もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図る

手続きを言います。

1 経済的に窮境にある債務者

ご相談者のように、債務の支払いが負担となり、経営ないしは家計を維持するのが難しい方が対象の手続きです。

また、苦境とはいえ、債務がない方は対象となりません。

債務はないけれども、売り上げが少なくて苦しい、とか言う方は対象にはならないのです。

売り上げを増やす方策を弁護士や裁判所が手伝ってくれるというものではありません。

2 その債権者の多数の同意

債務があることが前提と申しましたが、債務があるということであれば、債権者がいるということになります。

そして、民事再生というのは、債務が支払えない債務者について、その債務をどうするかということになるので、その債権者の利害に大きくかかわります。

債権者が、その債権について、例えば、猶予するとか、債権をカットするとか、何回払いで支払うとか、について同意してくれることが前提です。

但し、債権者が全員同意してくれることまでは求められておりません。

「多数の同意」となっているのはそのことを示しております。

3 裁判所の認可を受けた再生計画を定める

民事再生というのは、裁判所の関与が必要となる手続きです。

例えば、債権者の全員が、この債務者の債務について、この額で、この支払方法でよい、と同意してくれたとしても、

そのような再生計画(返済計画)は実現できる見込みがない

と裁判所が判断した場合には、やはり民事再生手続きは進まないことになります。

4 当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整

民事再生というのは、債務者と債権者の民事上の権利関係に影響を与えます。

民事再生手続きにおいて、債権者の債権を何割カットする、と決めた場合には、民事上、その債権額は減縮するという効果をもたらします。

民事再生手続きにおいて、また、債務者が債務を5年間で支払う、と決めた場合には、民事上、その支払い方法は債務者の義務となります。

また、債権者については、債権者平等の原則というのがございまして、特定の債権者だけを有利に扱ったり、不利に扱ったりすることは原則できません。

他に、清算価値保障という原則があり、債務者の返済額は、債務者が有している財産相当額を、下回ってはいけないという原則があります。

例えば、負債が1000万円あるとして、財産が500万円ある場合には、最低でも500万円は、返済しなければならないということです。

「権利関係を『適切に』調整」というのは、以上のようなことを示しております。

5 当該債務者の事業又は経済生活の再生を図る

要するに再生を図るというのは、破産のようにそこでお終いにするということではないということです。

これが、民事再生と破産との最大の違いです。

ちなみに、「倒産」というのは、法律上の用語ではなく、会社が正常な経営を続けられなくなることを、全般的に「倒産」と言います。

従いまして、「倒産」の中には、「民事再生」も「破産」も入ることになります。

6 ご相談のケース

ご相談者の場合には、法人格がない個人事業主と言うことで、しかも、お2人で共同事業としてやられているということですが、問題は、お二人のうちどちらが債務を負っているかによります。

お二人とも債務を負っているという場合には、お二人ともにしなければならいことになります。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、民事再生手続きとはどのような手続であるのかについて、民事再生法の条文を踏まえて、破産との違い等も含め、ご説明いたしました。~

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