【ご相談内容】減額返還制度及び返還期限猶予制度の要件・効果

前回、前々回の続きです。

勤めていた会社が民事再生法の適用を受けることになりました。

新卒で勤めた会社だったのですが、そこで営業職をしていました。

残念なことに、その会社がなんと、たった一年で民事再生法の適用を受けて倒産してしまったのです。

その後、職を転々とするうちに、段々、借金が増えてしまいました。

そして、奨学金も滞納してしまいました。

任意整理もできません。

元本はおろか、利息も延滞金も免除してくれないそうです。

ただ、私が破産すると、連帯保証人である母、保証人である姉に請求が行ってしまいます。

民間ではなく、公的機関だからと言って、督促が厳しくないと思っていましたが、違うようです。

ただ、日本学生支援機構でも、減額や期限猶予もあるみたいなのですが、どうなのでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

日本学生支援機構の減額返還制度

減額返還制度とは、災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に申請により認められるものです。

失業中を理由とする場合には、雇用保険受給資格者証等

低所得(減収・減給)を理由とする場合には、給与証明等

無給を理由とする場合には、無給証明等

災害を理由とする場合には、罹災証明等

傷病の場合には、診断書等

以上のような資料を添えて、「奨学金減額返還願」を提出し、要件を満たせば、一定期間、当初の分割金を2分の1または3分の1に減額して、その分、返済期間を延ばすことができます。

返還する総額は減らしてもらえません

将来利息も減らしてもらえません

延長される期間は最長15年です。

ちなみに、 低所得(減収・減給)を理由とする場合というのは、給与所得者の場合には、年間325万円以下が目安です。

ただ、この制度の問題は、すでに延滞している場合には申請できないということです。

日本学生支援機構の返還期限猶予制度

返還期限猶予制度とは、災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に申請により認められた期間だけ返還を待ってもらうものです。

失業中を理由とする場合には、雇用保険受給資格者証等

経済困難を理由とする場合には、給与証明等

生活保護を理由とする場合には、生活保護受給証明等

災害を理由とする場合には、罹災証明等

傷病を理由とする場合には、診断書等

以上のような資料を添えて、「奨学金返還期限猶予願」を提出し、要件を満たせば、支払期限を猶予をしてもらえるというものです。

ただし、1年ごとに申請が必要です。

また、すでに延滞している場合は、延滞開始年月より1年ごとに猶予願を提出しなければなりません。

返還期限は最大で通算10年間猶予されます。

経済困難を理由とする場合というのは、給与所得者の場合には、年間300万円以下が目安です。

延滞がすでに複数年に渡っている場合には、過去に遡って当該期間の経済困難等の証明書を揃えることができれば、猶予扱いになります。

ですが、それが難しい場合には、単に延滞しているだけとして、督促も延滞金の発生も止まりません。

~以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、奨学金の延滞と日本学生支援機構に対する減額返還制度及び返還期限猶予制度について、その要件・効果について、ご説明いたしました。~

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