【ご相談内容】再生・破産後の通帳・クレカ・パスポート・携帯

前回の続きで、新潟の妙高市で、夫婦で民宿をやっており、私たち長男の相談です。

長男との話し合いの結果、長男の携帯については、当面の間、私の夫がもう一台契約して、長男に持たせることにしました。

しかし、いつまでも、子供でないので、長男の借金の整理が個人再生とか自己破産とかで、きちんとできたら、本人に契約してもらいたいと思っています。

ただ、現実問題として、個人再生とか自己破産とかをした後は、

銀行の通帳も作れない、

クレジットカードも作れない、

携帯(スマホ)も持てない、

パスポートも持てない、

海外にもいけない、

という制限の中で暮らしていかなければならないと聞きました。

どれくらいすれば、息子が普通の社会人になれるのか、が気になります。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生・自己破産後の生活上の制約

 前提として、いくつか勘違いがあります。

(1)個人再生・自己破産後、銀行通帳は持てる(開設できる)か?

銀行の通緒は、持てます(開設できます)。

さすがに、個人再生・自己破産をしたとしても、通帳がなければ、給与の振り込みも、年金の振り込みも受けられません。

ですので、そんな過酷な制約はありません。

(2)個人再生・自己破産後、クレジットカードは持てるか?

ちらは、たしかに、ほとんどのケースでは、個人再生・自己破産後に、次のクレジットカードの更新ができなくなったり、新規契約ができなかったりします。

個人再生の対象となる債権が、銀行系住宅ローン、銀行系オートローン、銀行系カードローンだけであった場合には、その登録される機関が、

「全国銀行個人信用情報センター」

になります。

つまり、クレジットカード系の会社が加盟している、

「CIC」

「JICC」とは異なりますので、クレジットカードが作れる可能性がまだあります。

ただ、クレジットカードの必要性については、大概のケースでは、DEBITカードで代替できることが多いです。

また、家族に協力してもらって家族カードを作るとか、他にも、代替手段はなんらか存在します。

どうしても、クレジットカードがないとどうにもならない、というケースはそんなにないはずです。

(3)個人再生・自己破産後、パスポートが持てない(海外にいけない)か?

そういう噂的なものを鵜呑みにする人、

あるいは、

何も分かっていなくてインターネットサイト上にそういう情報を流している人、

いますよね。

ですが、そういうことはありません。

そんなことは、旅券法を見ればすぐに分かる話です。

旅券法には、パスポートが発給されない、ということは記載してありますが、発給されない場合というのは、きちんと明記してあります。

外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。

一  渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者

渡航先で、個人再生や自己破産を経験した者は入国を認めない、という国があればともかく、そういう国はありません。

二  死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者

個人再生や自己破産をすることは、犯罪ではありません。

三  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者

個人再生や自己破産をすることは、犯罪ではありません。

四  旅券法に関わる犯罪を行い刑に処せられた者

個人再生や自己破産は旅券法とは関係ありません。

五  旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑に処せられた者

個人再生や自己破産は旅券若しくは渡航書とも関係ありません。

六  国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律に規定する帰国者で、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの

別に、自分のお金で外国に行くわけですので関係ありません。

七  前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

個人再生や自己破産をすることが、直接に日本国の利益又は公安を害するわけではありません。

個人再生・自己破産した後に、携帯(スマホ)の新規契約ができるか?

この問題は、1)個人再生・自己破産をしたこと自体が問題となるか?

あるいは、2)個人再生・自己破産をする際に、携帯料金の滞納があって、最後は契約解除となったか?

という2つの問題に分けて考える必要があります。

(1)個人再生・自己破産をしたことにより、携帯の新規契約ができない?

個人再生・自己破産が申し立てられたという情報が、携帯電話会社に申告されて、新規契約ができなくなるか?

というと、そういうことはないです。

普通に新規の契約ができます。

(2)料金滞納で契約解除になったら個人再生・自己破産後、携帯の新規契約ができない?

料金不払いのある客の情報は、事業者間で交換されます。

その情報は、契約申し込み受付時の加入審査に活用されますので、結局、新規契約は申し込みをしても、受けつけられません。

ただし、料金が完済された場合は対象外となります。

また、自己破産等により免責が決定している場合も対象外となります。

つまり、滞納があって、契約が解除されて、それをそのまま放置したままだと、新規で携帯の契約ができないということです。

ただし、自己破産等で法的整理をすれば、携帯料金不払い者のレッテルは、はがれるので、新規契約も受け付けられるようになります。

ですので、結論としては、いつまでも放置しないで、きちんと自己破産等で整理をすることが大事です。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生・自己破産後、銀行通帳は持てる(開設できる)か?クレジットカードは持てるか?パスポートが持てる(海外にいける)か?携帯の新規契約ができるか?につき、ご説明致しました。~

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