【ご相談内容】個人再生の流れ及び弁護士とのやりとり

実は、一度、弁護士事務所に依頼して、任意整理というものをやりました。

現在、月々の分割払いをその弁護士事務所に返済代行(?)してもらっています。

ですが、2年経過しましたが、まだ残りあと5年もあり、きつくてきつくて仕方がないです。

そこで、一度、その事務所に他に方法はないのか聞いてみました。

そうしたところ、自己破産を強く勧められたのですが、それでは、自宅を手放さないといけない、ということでした。

自宅を手放さないで債務整理する方法について聞いてみたところ、「個人再生」というのがあるとのことでした。

そこで、そちらの手続をお願いできないかを聞いたところ、最初は、

「個人再生は、ハードルが高い。」

「再生計画というものを立てなくてはいけなくて、これには将来の収入の予想を立てないといけないので普通の人には難しい。」

「もし、再生計画が認められないとすると、今までの任意整理も無駄になることになるので、リスクが大きい。」

「あなたは、パチンコ・ギャンブルで借金を作っているため、その点が問題にされるかもしれない。」

などなど、いろんなことを言われて、個人再生は受けられない、とのことでした。

ですが、私は、公務員で、給与もそんなに劇的に変わるとも思えないので、どうも腑に落ちません。

「せめて、個人再生の手続の流れだけでも教えてほしい。」

とお願いしたのですが、それも、

「そんな簡単に示せるものではない。」

という返事でした。

そんなに、個人再生の手続の流れは、複雑なのでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生を扱う弁護士を新潟で探す

おそらく、その弁護士事務所は、個人再生をやらないのでしょう。

そういう事務所は別に珍しくありません。

自己破産の場合には、極端な話、どのような問題点があったとしても、最後は、清算するだけですので、手続きは割とシンプルです。

個人再生は、きちんと裁判所の示したスケジュールに従って手続きをすすめなくてはなりません。

書面を出す回数も書類の数も自己破産に比べると多いので、扱いたくないというう弁護士も少なくありません。

ないしは、結局、そんなに数も多くなく経験する場面もすくないので、扱うのが不安であるという弁護士も少なくありません。

個人再生手続の流れ(わかりやすく概略)

小規模個人再生のスケジュール

1)個人再生の申立て

まずは、申立書及び必要書類を揃えて、印紙と郵便切手とともに管轄の地方裁判所に申し立てをします。

2)申立書類の裁判所によるチェック⇒開始決定

申立書類に不備がないかをチェックし、かつ、補正・補充が必要な事項があればその対応をします。

そして、手続きをすすめる目途がつけば、個人再生の開始決定が出されます。

この「開始決定」が出て初めて法的に手続きがスタートするのです。

3)個人再生委員の選任(※ 個人再生委員が選任される場合)

再生委員がつく場合には、弁護士が裁判所から指名されて再生委員に就任します。

4)個人再生の履行(支払い)テスト開始

個人再生は自己破産と異なり、債務は大幅に減額されますが、支払いが残ります。

そこで、再生が認められた場合に、その支払いができるかどうかのテストをします。

具体的には、事前におおよその将来の返済金額の見当がつきますから、その金額を実際に毎月積み立ててみるのです。

※将来の返済金額は弁護士が計算してくれます。

5)個人再生手続きが開始決定の官報公告

個人再生手続きが開始されると開始決定がなされた旨を【官報】という国の広報紙のようなものに掲載します。

ただ、普段、普通の人がこの官報を目にする機会はほとんどありません。

6)開始決定時点での資産等の報告

個人再生の申し立ての時点において、資産等の報告はするのですが、申し立てから個人再生の開始までの間にすこしタイムラグがありますから、改めて資産等の状況について報告するのです。

通常は、ほとんど変わりません。

7)再生計画案の提出・書面決議

再生計画案とは、個人再生の申立人が負債(債務)のうちの〇%をカット(免除)してもらって、その残りを毎月(とか3か月に1回とか)〇円支払う、という内容の案のことです。

ただし、小規模個人再生では、その案を出したと言ってストレートに認められるというものではありません。

債権者による書面決議において、過半数の異議が出てしまうと、その個人再生手続きは、そこでお終いです。

小規模個人再生の失敗個人再生の廃止)、ということになってしまいます。

8)再生計画の認可

小規模個人再生の書面決議で、債権者からの異議が過半数でなければ、次は、裁判所の審査があります。

裁判所が

「この収入の金額では、支払いは無理でしょう。」

「支払いが多すぎで返済可能性が危うい。」

という場合には、認可されないのですが、通常は、裁判所は事前に言ってきてくれます。

ですので、その段階で、補正や釈明をして、裁判所が

「うん、これなら。」

と言えばいいですが、それでも駄目だという場合には、不認可に行く前に取り下げるという事もあり得ます。

細かく言い出すときりがありませんが、大まかには上記のような流れを辿ります。

小規模個人再生のポイントは、無事に開始決定されるかどうか、と、再生計画案が決議されるかどうか、です。

多くの場合には、申し立て前にきちんと書類が完成しているかどうかで勝負がついております。

給与所得者等再生の場合

小規模個人再生とほぼ同じなのですが、給与所得者等再生の場合には、債権者による「書面決議」がありません。

個人再生の依頼者の方から見た流れ

弁護士に依頼することを前提にお話しします。

1 個人再生を弁護士に依頼

弁護士相談を経て、委任契約を締結していただき、委任状を頂戴します。

2 個人再生の債権調査(取り立て停止)

債権者を教えていただき、受任(介入)通知の送付及び債権者からの債権届を収集して債権額を確定します。

この「受任(介入)通知」が送付されると、債権者からの直接の督促がストップします。

3 個人再生のための財産調査

まず、財産調査をします。

預金通帳、(生命)保険解約返戻金計算書、不動産査定書、自動車査定書、退職金計算書等をお預かりします。

4 家計簿(家計収支表)等による収支計算

また、並行して、

家計収支の調査・計算をします。

源泉徴収票、確定申告書、給与明細、家計収支表、住宅ローンの返済予定表等をお預かりします。

上記の1~4において、資料をお預かりしたり、不明な点を教えていただくことで、あとは弁護士の方が書類を作成して、裁判所との対応をすることになります。

個人再生とパチンコ等のギャンブル

なお、最後に、

「あなたは、ギャンブルで借金を作っているため、その点が問題にされるかもしれない。」

というのは逆で、個人再生ではなく、むしろ、自己破産のときに問題とされるのです。

その弁護士事務所が個人再生を受けてくれないのであれば、よそで頼めばよいだけです。

無理やり、そこに頼む必要はありませんし、頼んでもその後が大変そうです。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生手続の流れ、及び、依頼者の方にしていただく手続きについてご説明いたしました~

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