【ご相談内容】個人再生の簡単な説明
某鉄道会社で勤務している30代男性で、バツイチではありますが、嫁はもちろんのこと子供なしです。
嫁と別れる際に、私の方が全面的に悪かったので、嫁に、
・私名義のマンションに住み続けていい、
・私は住まないが、住宅ローンは支払い続ける、
と約束して、それから数年間は、自分は賃貸マンションに住みつつ住宅ローンの支払いも頑張ってきました。
しかし、やはり、この2重家賃(ローン)はきつくなってきました。
そして、結局のところ、キャッシングや消費者金融に手を付けてしまいました。
それも最近は限度額、目一杯で借り入れできなくなりました。
元嫁には、素直に現状を話して、もう、マンションを維持できないと述べたところ、散々、悪態をつかれました。
ところが、結局は、彼女は、新潟から東京の実家に戻ることになりました。
こういう状況で、来月には、今の賃貸マンションを解約して、自宅マンションに戻ろうと思っております。
マンションを維持しながら借金を整理する手続きとして、「個人再生」というものがあると、聞きました。
「個人再生」とは?何かを分かりやすく教えてください。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
個人再生とは
「個人再生」とは、現在ある債務の約8割をカットして、残りの約2割の金額を原則、 3年で分割返済すれば、残りは支払い義務が免責される手続きです。
以上です。
分かりやすかったでしょうか?
分かりやす過ぎて、いろいろ細かい点も知りたくなったでしょう。
基本的に、その方の置かれている状況によって、
・どのような個人再生手続きを選択するか、
・そもそも、個人再生手続きを進めて最終的に認可される見通しがあるのか
等が変わってきます。
分かりやすく言えば以上の通りですが、自分の状況を説明の上で、弁護士等に相談した方がよいです。
小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
ご質問の限りで、あなたの場合ですと、某鉄道会社にお勤めと言うことですので、収入は割と安定しているのではないでしょうか?
そうしますと、小規模個人再生でも給与所得者個人再生でもいずれも選択することができそうです。
「小規模個人再生」というのは、本来は、個人事業主等の小規模な事業者向けの手続ではあるのですが、サラリーマンも使えます。
最低弁済(返済)額が異なる
小規模個人再生と給与所得者個人再生の手続の違いは、1つは、弁済(返済)額が異なる点です。
小規模個人再生の場合には、最低返済額が清算価値以上とされており、
【自分が現在保有している資産相当額は最低でも返済しなければならない】
とされています。
他方で、給与所得者等個人再生の場合には、可処分所得の2年分とされており、
【所得からどうしても生活に必要な金額を除いた余剰金額の2年分を最低でも返済しなければならない】
とされています。
ただ、給与所得者等再生の場合には、現実問題としては、その金額がとても高額になります。
なぜなら、『どうしても生活に必要な金額』というのは、現実に支出した金額ではなく、政府により勝手に決められた金額であるため、本当は生活に20万支出しておりこれぐらいはないと実際には生活できないのに、
「いやいや、どうしても必要な支出は10万円で足りるでしょう」
「残りは返済に回せるでしょ。」
と勝手に計算されてしまうからです。
書面決議の有無
また、小規模個人再生と給与所得者等再生の手続の違いは、もう1つは、債権者の決議の有無です。
小規模個人再生の場合には、債権者の過半数がNOと言ったら、その再生手続きは進められなくなります。
他方で、給与所得者個人再生の場合には、債権者の意見に左右されません。
意見を聞くことはあっても、その通りにしなくてよいのです。
住宅ローン特別条項(住宅資金貸付債権の特則)
また、個人再生の場合には、自己破産の場合と異なり、住宅ローンを支払い続けるということができます。
それができるのは、その住宅が居住用であること、が条件です。
例えば、投資用の不動産について、住宅ローンの特別扱いを認めてもらうことはできません。
もう、お分かりだとは思いますが、個人再生の申し立ての際には、きちんと、あなたが自宅前に戻って、再び、居住用として使用しなければなりません。
そんなこんなで、いろいろと検討すべき点が個々にあります。
概略をつかんだところで、ご相談してみてください。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、「個人再生」とは?何か?を分かりやすくご説明するとともに、結局、相談しないと具体的な話にはならない、ということをご説明いたしました~