【ご相談内容】個人再生と自己破産の比較(要件・財産換価・職業資格)

某施設の警備の仕事をしている者です。

夜勤が多く、夜勤が明けると、パチスロに行って、それから飲みに行くという生活を続けてしまい、借金を増やしてしまいました。

先日、とうとう、支払いが難しくなって、支払いをすっ飛ばしてしまったら、案の定、督促状・メールが来るようになりました。

携帯もガンガン鳴るので、仕事中は電源を切っているのですが、勤務先も借り入れの時に記入しております。

そのうち、会社に電話がかかってくるのではないかと怖くて怖くて、毎日、生きた心地がしません。

同じような経験をした同僚がいたので、相談したところ、その同僚は、弁護士事務所に依頼して、『任意整理』という手続きをしたとのことでした。

そして、その際に、

「警備員は絶対に破産はできないという決まりがある」

と言われたそうです。

また、破産のほかに、『個人再生』の手続があるということでしたが、その弁護士さんによると、

「警備員資格に個人再生が影響するかどうかはケースバイケース」

と言われ、絶対安全な任意整理をしたとのことでした。

ただ、任意整理は、月々の支払額を減らして、その分を長い年月をかけて支払っていくもののようです。

「正直、いつまで体が持つか分からない」

と友人はこぼしていました。

絶対に破産はできないのか?、とか、個人再生がどのような影響をもたらすのか?

を私の警備業の仕事との関係で知りたいです。

そもそも、個人再生と破産の違いがよく分かっておりません。

個人再生と破産の違いは何でしょうか?難しく言われても分からないのでズバリお願いします。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

個人再生と破産の違い

『個人再生と破産の違い』は?何かをズバリと言います。

個人再生は負債の約8割をカットして、残額である約2割を3年ないし5年で返済する手続きですが、破産(自己破産)の場合には、負債全額が免除(免責)される手続きです。

個人再生の要件

ただし、個人再生の場合には、

・住宅ローン以外の債務の額が5000万円以下であること、

および、

・債務者が将来にわたって一定の収入を得る見込みがあることが必要

との要件(条件)があります。

普通、お勤めの方で住宅ローン以外の借金が5000万を超えるっていうことはあまりありませんが、個人事業主等の場合には、この要件がネックになることがあります。

またさらに、お勤めしているものの、退職予定であるとか、インセンティブの割合が高くて月ごとの給与に大きな変動がある場合には、やはり、一定の収入の要件がひっかかることもあります。

個人再生と債権者の反対

さらに個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類がありますが、「小規模個人再生」の場合には債権者による書面決議があります。

ですので、この書面決議で債権者の過半数が否決してくると、個人再生手続きはそこで潰れてしまいます。

他方、破産(自己破産)の場合には、書面決議がありませんし、債務は全額免責されます。

ギャンブル等による借金と自己破産

個人再生にはありませんが、自己破産には、免責不許可事由というものがあります。

財産隠しをしたり、浪費やギャンブルで財産を減少させたり、不相当な借金(浪費)をしたり、破産手続で虚偽の説明をしたりした場合には、免責が認められない場合があります。

個人再生と家・車・保険等の財産

その他の重要な相違点とすると、財産の換価の有無があります。

破産(自己破産)の場合には、一定の財産を除いて、申立人が有している財産は、破産管財人により、売却・解約等されて、そのお金は破産管財人が報酬として受け取ってしまうか、債権者に配当されます。

他方、個人再生の場合には、申立人が不動産や自動車や生命保険等の財産を有していても、それらの財産を売られてしまったり、解約されてしまったりすることはありません。

個人再生と清算価値

ただし、個人再生の場合には、清算価値と言って、要するに、申立人が有している財産相当額の金額を最低弁済額として、それ以上の額を返済しなければなりません。

個人再生と資格制限

その他には、ご質問者様のように、破産(自己破産)の場合には、資格制限の問題がありますので、警備員や保険外交員等は破産手続が開始した時点で、一旦、その資格を失ってしまいます。また、会社の取締役なども同様です。

他方、個人再生の場合には、そのような職業資格制限の問題はありません。

ただ現実問題として、破産(自己破産)によって、本当に、即座に会社が首になるのかというと、それこそ、その実態に応じてケースバイケースになります。

個別によく弁護士に対応についてはお問い合わせください。

いずれにせよ、「警備員資格に個人再生が影響するかどうかはケースバイケース」というのは間違っていて、影響はしませんので、ご相談者様が、聞き間違いないしは誤解してしまったか、その弁護士が誤解しているのかどちらかです。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生と破産の違いは?何かについて、要点を絞ってご説明いたしました~

https://xn--gmqw5ae7af47bf8kkmi.xyz/