【ご相談内容】個人再生が認められるとはどういうことか?
個人再生を申し立てたいと思うのですが、先日、友人のお兄さんが実は個人再生をやったことがあると聞きました。
それで、どうなったのかを聞いてもらったところ、結論としては、個人再生が失敗になったそうです。
結局、
任意整理?個人整理?(言葉が違っていたらすいません)
と、
給与所得者再生と、
自己破産
のうち、どれを選ぶかを弁護士から迫られたそうです。
そして、結局、絶対に破産は嫌なのと住宅の問題があるので、
任意整理?個人整理?
か、
給与所得者再生
の2つから、どちらかを選ぶしかなかったんだけれども、計算すると、どちらも計算すると、返済額があまり変わらなかったので、結局、
任意整理?個人整理?
をすることにした、ということでした。
個人再生が失敗することってあるのでしょうか?
具体的にどのような場合には失敗するのでしょうか?
失敗したらそのあとは、友人のお兄さんのように
任意整理?個人整理?
になるのが普通でしょうか?
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
個人再生の失敗とは?
個人再生の失敗と言っても、「失敗」の概念がよく分からないので、一概には言えません。
結論として、個人再生の認可まで辿り着けない、ということでしたら、いくつかのパターンが考えられます。
1)そもそも、個人再生の要件を満たしていない
例えば、
負債総額が住宅ローンを除いて5000万円を超えているとか、
失業中で継続した収入がない(個人再生はアルバイトでも可能ですが全く無収入は難しいです)とか、
予想される返済額に足りるだけの毎月の余剰がない(個人再生の必要書類である「家計収支表・家計簿」を見ると毎月赤字である)とか、
そもそも、個人再生を申し立てる前の段階から、要件を満たさないことが分かるとか、予想されるパターンですね。
2)住宅ローン(住宅資金)特別条項
住宅ローンを遅滞なく支払っていれば問題ないのですが、遅滞が多い場合には、改めて、住宅ローン会社とか銀行と協議をしてリスケ等をしなければならない場合があるのですが、その協議が上手くいかない場合があります。
もちろん、住宅ローン特別条項(住宅資金特別条項)は住宅ローン債権者に対する拘束力があるのですが、遅滞はしていたり、協議が上手くいっていないと、裁判所ないし再生委員から、再生計画履行の見込みがないと判断される可能性があります。
3)個人再生の弁済率(返済率)に従った支払い
個人再生は自己破産と違い債務圧縮後に支払いがあります。
弁済率、返済率、圧縮率、免除率、減額率などいろいろな言い方がありますが、要するに、債務の総額から一定の割合で計算されます。
そして、個人再生を申し立てると、裁判所より、本当に将来、個人再生の再生計画通りに支払いができるのかをテストするために、一定額を積み立てることを求められます。
ところが、ちょうど、履行テストの時期に急に子供の教育費が必要になるとか、あてにしていたほどの賞与がなかったりとかで、家計の収支が合わなくなり、履行テストにおける支払いができなくなる場合があります。
これもやはり、裁判所ないし再生委員から、再生計画履行の見込みがないと判断される可能性があります。
これもまた、1つの「個人再生の失敗例」になります。
4)個人再生への債権者の反対(反対する銀行等がいる)
個人再生にも種類があり、その中の1つである「小規模個人再生」という種類の個人再生を選択した場合、申立人が提出した再生計画案については、債権者の書面決議に付されます。
それで書面決議において債権者の過半数がその再生計画案に異議を唱えた場合には、そこで再生手続きはストップしてしまいます。
裁判所は、
「債権者とよく話し合って、同意してもらうようにしてください」
などと言ってきますが、当該債権者にだけ支払いするわけにもいかず、できる話ではないのが通常です。
ですので、これは、「小規模個人再生の失敗」ということにはなります。
5)再生計画の認可が下りない
履行の可能性がない等の理由から、裁判所が認可を下ろさない場合があります。
ただし、事前に裁判所は、裁判所から見て気になるところを伝えてきますので、それなりに対応することが可能な場合が多いです。
もっとも、多いのは、
「家計収支表(家計簿)を見たけど、これでは個人再生の分割払いは無理ではないか?」
と疑問を呈してくるような場合です。
それに対して、
個人再生ではボーナス払いができませんが、
「ボーナスをとっておいて個人再生の分割払いに充当する」
というような計画の説明をしたりして対応します。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生の失敗、ないしは、どのような場合に失敗と言えるのかについて、ありうるパターンをご説明いたしました~