【ご相談内容】答弁書提出・裁判出席と再生・破産の申立て
前回に引き続き、新潟のとある学校の教職関係の仕事をしておるのですが、いろいろあって、ギャンブル・浪費等で借金を多額にこしらえてしまいました。
おまけに、カード会社からの督促状とかも無視というか、現実逃避していたら、新潟簡易裁判所に裁判を起されてしまいました。
このまま行けば、勤務先に給与の差し押さえが入る可能性があることも分かりました。
また、自己破産であると免責不許可事由というのが問題となり、個人再生であれば、その点は問題にならないということも分かりました。
私は、これから心を入れ替えて、きちんと自分の借金問題に向き合い、整理していきたいと思っております。
ですので、ここから、どのようにすればよいのか、今、すでに起されている裁判の件も含めてをご教授ください。
ちなみに、あと約3週間後に裁判所に呼び出されております。
また、あと約2週間後に答弁書という書類を新潟簡易裁判所に出すように指示されていますが、それにも何も対応しておりません。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
新潟簡易裁判所に答弁書を提出
まずは、裁判の件ですが、裁判というのは、その口頭弁論に出席する義務があります。
出席しないとどうなるかというと、いわゆる欠席判決がなされてしまいます。
裁判所が、
【出席しない(欠席)=何も言い分がない(相手の言い分について争うつもりがない)】
と判断して、相手の言い分を全て聞き入れて、訴状記載の通りの判決を下すことになります。
ですので、裁判には出席しなければならないのですが、ここで1つ問題となるのは、
『出席して、何を主張するのか?』
ということです。
例えば、裁判を起されてはいるものの、
・人違いであるとか、
・勝手にカードを使われてしまったものであるとか、
・借りたけど返したはずであるとか、
何か言い分があるのであれば、出席して述べることがあるのですが、
相手(カード会社)の言い分はその通りという場合は出席して何を言えばよいでしょうか。
『たしかに、自分が借りている』
『借りた金額もあっている』
『返せていないのも本当である』
という場合、せっかく裁判に出席しても言うことがありません。
ですので、裁判官から、
「原告(相手カード会社)の訴状に記載してある通りで間違いないですか?」
と聞かれて、
「はい、間違いありません。」
と答えるのと、欠席するのとでは、あまり違いはありません。
裁判で言う事(主張・反論)がなければ欠席する?
では、何もしないで欠席すればいいのか、というとそうは思いません。
答弁書は、提出しておいた方がいいと思います。
実は、民事訴訟においては、答弁書を提出した場合には、初回期日に限り、現実には欠席しても、
出席して答弁書に記載してある内容を裁判所で述べたものとみなす
というみなし規定があるのです。
これを、擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)と言います。
そもそも、裁判の第1回目の開催日は、被告(訴えられた側)の都合を全く聞かないで、
原告(訴えた側)
と
裁判所
の都合だけで、一方的に決められるので、それに出席できないからと言って、直ちに欠席裁判とするのは不公平だからです。
ただし、提出する答弁書の書き方は、その後の、自己破産ないしは個人再生にも関わりますので、よく弁護士ないし司法書士に相談してください。
個人再生ないし自己破産の早期申立て
自己破産とするか個人再生とするか
自己破産をしたとして、
・免責不許可事由について裁量免責が得られるかどうか、
・裁量免責を得るためにどの程度の努力を求められるか (反省文で済むのか、お金の積立てることを求められるのか)
等々の見通しをよく、司法書士ないし弁護士と協議したうえで、個人再生にするのか、自己破産にするのかを決めます。
申し立てはスピードが重要(強制執行の問題)
決めたら、早期に申し立ての準備をします。
急がないと、そのうち、判決が出て、強制執行(給与差し押さえ)がなされるかもしれないからです。
ただ、
「すぐ申立してください!」
と言われても、紙を1枚、裁判所に提出すればいいというものではありません。
いろいろ準備しなければならない書類があります。
・集めてもらわないといけない書類
・いろいろ調べながら記載しなければならない書類
・申し立て費用
が必要です。
ですが、一刻でも早く申し立てをして、手続きの開始決定を裁判所から出してもらうことが必要です。
個人再生ないしは破産の手続き開始決定が出された場合には、それ以降は、債権者は、強制執行ができなくなるのです。
なお、この手続の開始決定も、申し立てれば、すぐに、出されるというものではないのです。
申し立てが受理されてから、1カ月以上も経って、ようやく手続き開始決定が出ることもあります。
とはいうものの、申し立てが受理されると、
【事件(受理)番号】
が付きますので、それを債権者に通知します。
いずれは手続き開始決定が出されるということが債権者に通知されているのに、そのことを無視して、強制執行を強行してくる債権者というのは、そう多くはありません。
ですので、とにかく、早く裁判所に申立書類を提出するということが大事です。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、借金を滞納し続けて裁判を起こされた場合に、その後どうしていけばよいのか?について、個人再生・破産の手続き開始決定と強制執行の関係も含めて、ご説明いたしました~