【ご相談内容】個人再生と免責不許可事由
これまで、3人の男性と付き合いました。
みんな最初は優しくしてくれるのですが、だんだん、お金の件で、だらしなくなっていきました。
というか、図々しくなり、そこで別れればよいのですが、ついつい、可哀そうになってしまいます。
それに、お金を出さないと、不機嫌になる、気まずくなる、場合によっては、怒り出す、等々で、いつも最後の方はお金の負担がきつくなって、最後に別れてしまいます。
私も、段々、結婚に対する焦りが出てきていたのかもしれません。
最近別れた男性とは2年間交際しましたが、最後の方は、彼の生活の全て、
家賃、
水道光熱費、
電話代、
食費、
お小遣い、
これら全てに加えて、車が必要だというので、中古ですが私名義でローンを組んで買ってあげたりしてしまいました。
もちろん、デート(旅行を含む)も全て私持ちでした。
仕事は自営で、東南アジアの国への投資のサポートということでしたが、何度、説明を聞いても、難しくて分かりませんでした。
ですが、結局、タイの女性と仲良くしている写真がスマホにあるのを見つけて、別れました。
私は、医療関係の仕事をしているのですが、当然ながら、そんなに無限に彼をサポートするだけのお金はなく、結局、キャッシング、カードローン、サラ金、と行くところまで行ってしまいました。
さらには、カードでブランドバッグを買って即、買い取り業者に売るということで現金を作ることもやってました。
「そういうことはいけないことで、破産すら認められない」、
と、この間、市役所の無料相談の人(弁護士とかではありませんでした)から言われました。
その際に、
「個人再生っていうのもあるから、それを相談してみたら?よくは分からないけど。」
とも言われました。
「個人再生」?って言われただけですが、それは何なのでしょうか?
今の私の境遇で何をするのがよいのか自分でも良く分かりません。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
「個人再生とは」わかりやすく言うと
「個人再生」とは?何かについては、仙台地方裁判所のホームページが、わかりやすく説明(掲載)しているので、そちらをご覧になるとよいかと思います。
http://www.courts.go.jp/sendai/saiban/tetuzuki/kozinsaisei/index.html
【仙台地裁HPの説明】
”個人再生手続とは,借金などの返済ができなくなった人が,全債権者に対する返済総額を少なくし,その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て,債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば,その計画どおりの返済をすることによって,残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続です。”
ということです。
この短い説明文章の中に、個人再生の本質・エッセンスがギュッと詰め込まれております。
借金などの返済ができなくなった人が
要するに、個人再生は借金の整理(債務整理)の一つ手段であります。
全債権者に対する返済総額を少なくし
全額の支払いを単に支払い期間を引き延ばしたりするリスケとは異なり、債権カット(債務の一部免除)がされるのが特徴です。
どの程度、カットされるのかは保有している資産・財産にもよりますが、目安としては8割程度の債権カットされます。
その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て
再生計画ないし返済計画を申立人が立てるのですが、その返済期間は原則3年です。
場合によっては5年まで返済期間をとることもあり得ます。
債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば
個人再生のうちでよく利用される小規模個人再生の場合には、債権者ないし債権額の意見の過半数が反対すると再生が認められません。
また、最終的に裁判所の認可が必要です。
その計画どおりの返済をすることによって
再生計画が認められても、再生計画通りに返済しなければならないのは当然のことです。
残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除される
きちんと、その債権カット後の残額を支払うことにより最終的に債務免除の効果が得られるのです。
また、一部、非減免債権と言って、婚姻費用、養育費、税金等カットされない債権もあります。
なお、
住宅ローン特別条項(住宅資金特別条項)
というのがあり、それが認められれば、住宅ローンは再生債権とは別個に支払うことになります。
自己破産と浪費・換金行為(免責不許可事由)
そして、本件のご相談の内容を踏まえますと、ブランド品の換金行為もさることながら、その交際相手に使ったお金というのが(こういうことを言うと気分を害するかもしれないですが)、浪費とみられる可能性があります。
特に、デートや旅行を借金をしてまで行った点は、浪費ではないというのは、
なかなか 難しい気がします。
借金の整理(債務整理)には、個人再生のほかにも任意整理、自己破産というものもあるのですが、自己破産について言いますと、免責不許可事由というのがあり、それは、原則、浪費等があると免責されない、というものなのです。
相談員の方が言った、
「そういうことはいけないことで、破産すら認められない」
というのはそのことを指しているものと思われます。
個人再生における浪費・換金行為の扱い
他方、個人再生の場合には、そのような免責不許可事由というのがありません。
ですので、自己破産が難しい場合に、個人再生という借金の整理(債務整理)の手段をとる方もいらっしゃいます。
任意整理における浪費・換金行為の扱い
あとは、任意整理という手続きもあります。
これは裁判手続きではないので、免責不許可事由などというものもありません。
あるのは、相手方である債権者が同意してくれるか否かだけです。
ですが、個人再生のような強制的な債権カット(債務圧縮)は原則ありません。
もちろん、債権者との個別の話し合いなので、
いくらか利息を負けてくれ、
とか、
遅延損害金をカットしてくれ、
とか、
一括払いで払うから、少し負けてください、
等々はありますが、8割カットなど、まずあり得ません。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、「個人再生」とは何か?について、裁判所の説明文をもとにご説明いたしました~