【ご相談内容】個人再生と自己破産の違い(免責不許可事由)
新潟市内の会社に勤務していますが、本社は東京です。
ネットワークビジネスで少し家計が豊かになればいいなと思い、何度か勧誘されて、ネットワークビジネスを始めてしまいました。
ですが、そのために、いろんな人を食事や飲み会に誘ったりして、結局のところ、ただ、借金を増やしただけに終わりました。
これって浪費なのでしょうか?
自己破産だと浪費は認められないということですので、個人再生を考えているのですが、個人再生は、どうやらテストがあるようですが、どんなテストがされるのでしょうか?
それと、ネットワークビジネスについては会社の同僚や部下を誘ってしまったので、そのうち、上司ないしは経営陣にバレてしまうかもしれません。
ネットワークビジネスのこと、挙句の果てに、私が個人再生をしたことがばれた場合デメリットがあるでしょうか?
会社は、食品の商社的な仕事です。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
ネットワークビジネスは浪費として、自己破産の免責不許可事由になるのか?
自己破産の場合には、個人再生と異なり、免責不許可事由というのが定められています。
これは、ある一定の行為をした場合には、免責不許可と言って、結局、借金の支払い義務は免責しない、つまり、破産したとしても、支払い続けなければならない、とされることです。
浪費は免責不許可事由です。
免責不許可事由というのは個人再生にはないので、浪費をしてしまった場合に、自己破産ではなくて個人再生を選択する人がいるわけです。
ただ、ネットワークビジネスが浪費に当たるのかということですが、それ自体についは浪費には当たりません。
むしろ、ネットワークビジネスを勧誘するために、過大な在庫を仕入れたりとか、飲み会・お茶会などと、支出をしたこと自体が浪費と判断されるおそれがあるということです。
ですが、程度がひどくなければ、それでも最終的には、免責されるのではないかと思われます(裁量免責)。
個人再生のテスト(履行可能性テスト)とは
個人再生におけるテストは、履行可能性テスト(履行テスト)とも言われますが、とも言われます。
これは別に、何かのペーパーテストを受けさせられるわけではなくて、お金を毎月支払うことです。
お金を毎月支払うことが何ゆえにテストなのかというと、個人再生の場合には、再生計画が裁判所に認可された場合には、免除された債務の残額を原則3年で支払っていかなければなりません。
それを支払いきらないと、せっかく認可された再生計画が取り消されることにもなり、本当の意味で個人再生は終了しないのです。
この点が、免責が認められればその後の支払い(返済)の必要がなくなる自己破産と大きく異なる点です。
ですので、個人再生手続きが始まった後、
「この人は、再生計画が仮に認められたとして本当に支払っていけるのだろうか?」
ということを確認(テスト)するために、予行演習として、一定の金額の支払いのシュミレーションをするのです。
ですので、これが「(再生計画を)履行(できるのかの)テスト」と呼ばれるのです。
「実際に弁済ができると見込んでいるから個人再生を申し立てしたのだ!」
と思われる方がいるでしょうが、それでも、履行テストで支払いできない方って、少なからずいるのです。
履行テストで支払う金額は、個人再生を申し立てるときに再生計画を認可された場合に支払うであろう金額を予測して計算したものです。
ですので、この履行テストは、裁判所が再生計画を認可するかどうかの重要な判断材料になります。
他方で、この履行テストは、個人再生を申し立てた当のご本人にとっても、いざ支払いをしてみたところ、実はかなり難しい、という自分自身の収支・やりくりを見直すきっかけにつながることもあります。
この履行テストによって積み立てられた金額は、個人再生委員がついている場合には、その再生委員の報酬を控除されてしまいますが、個人再生委員がついていなければ最終的に全額返してもらえるのです。
ですから、頑張って支払いましょう、というのですが、それでも支払えない人がいるのです。
それで支払いができないとどうなるかというと、「履行可能性がない」と裁判所から判断されてしまうのです。
個人再生が勤務先にバレた場合のデメリット
個人再生が勤務先にバレたとしても法律上のデメリットは何もありません。
個人再生をしたことを理由に首にされる(解雇される)ということはありません。
事実上の問題としては、ちょっと、それは、勤務先である会社によってマチマチなので何とも言えません。
好奇の目で見られるかもしれませんし、管理能力がないと判断されるかもしれません。
ただ、個人再生そのものよりも、ネットワークビジネスを勧誘したことの方が問題の度合いは大きいでしょう。
個人再生の場合には、それこそ、他人の連帯保証をして、その巻き添えを食ったとか、理由は様々で、一概に非難に値するような行為ばかりとは言えません。
「会社の仕事に専念していなかったんじゃないのか?」
「なんで、会社のほかの人を巻き込んだのか!」
という評価につながっても仕方がないかもしれません。
ただ、その心配があるのであれば、素直に、その同僚や部下の方に
「迷惑かけて申し訳なかった」
「あの時はどうかしていた。反省している。」
と謝った方がいいのではないかと思いますよ。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生と自己破産の違い(免責不許可事由)、個人再生の履行テスト及び個人再生が勤務先にバレた場合のデメリットについてご説明致しました。~