【ご相談内容】会社破産と滞納税金の支払い

新潟市内で、繊維関係の会社をほそぼそと行っております。

本当に、ほそぼそで、役員は私と家内のみ。

従業員も正社員はおらず、登録の職人さんが6名のみ。

仕事はあるにはありますが、数年前からの税金の滞納を引きずっているために、結局、赤字です。

借金は日本政策金融公庫のみで、個人保証はありません。

ただし、私が個人名義で借りた銀行カードローン300万円を会社に突っ込んでおります。

役員報酬は、妻が月10万。

私は、一応、50万円を計上しておりますが、とったりとらなかったりです。

とれても50万円なんて給与はとれません。

銀行に融資を申し込んだのですが難しいと言われましたので、次の売り上げの入金があったら、そこで支払を済ませて、会社を畳もうかと思っています。

問題は、その後のことのです。

私は、自宅の住宅ローンを抱えており、会社を破産させると、会社に突っ込んだ300万円の返済は受けられなくなるので、会社破産と同時に、私個人は、個人再生をすることができないものかと考えております。

このようなことは可能なのでしょうか?

また、会社の滞納税金はどうなりますか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~会社破産・代表者(代表取締役)個人再生の可否

会社を自己破産して、その社長(代表取締役)を個人再生にできるか?

会社が破産したのだから、その代表者(代表取締役)も一緒に破産しなければならないのではないか?と懸念されているということでしょうか?

破産をするのは困るから、社長個人の債務については、個人再生で処理したいということですね。

結論から言いますと、可能です。

会社は自己破産手続きをとるけれども、その代表者(代表取締役)である社長個人については個人再生とする、ということについては、

✔ 個人再生の一般的要件(負債の額が5000万円を超えていない

✔ 継続的な収入がある

という要件を満たしていれば可能です。

会社が破産すると、その代表者(代表取締役)である社長個人の財産も全部取られる、などという話を聞いたことがあるかもしれませんが、必ずそうなるというわけではありません。

ではなぜ、そのように言われるのかというと、銀行融資の場合には、ほとんどの場合、その代表者(代表取締役)である社長個人の個人保証(連帯保証)がとられるからです。

例えば、銀行から1億円の融資を受けた場合には、その代表者(代表取締役)である社長個人の個人保証(連帯保証)もとられてしまうので、

会社が1億円支払えないという場合には、その代表者(代表取締役)である社長個人に1億円の支払いを求められます。

1億円の場合には、個人再生も使えません。

もちろん、通常の民事再生であれば、5000万円を超えても可能ですが、債権者の同意が得られることはまずありません。

ですので、会社破産で、その代表者(代表取締役)である社長個人が個人再生というのはあまり例がないのです。

ただし、会社がなくなった後、社長個人の収入のあてはあるのでしょうか?

個人再生の場合には、3年間で一定の支払額を返済していかなければなりませんので、継続収入が必要です。

それまで、代表取締役社長をやっていたような人が、すぐにお勤めを始めて給料を得るというのは、なかなか難しい話です。

それも、会社破産で、その代表者(代表取締役)である社長個人が個人再生というのはあまり例がない理由の1つかもしれません。

会社破産の場合の滞納税金の扱い

会社が、法人税(法人住民税)、消費税、源泉所得税(源泉税)などを滞納している場合、滞納したまま破産になった場合にどうなるか?というご質問ですね。

結論としてはどうにもなりません。

どうにもならない、というのは、国・地方自治体(県、市)としても、どうしようもない、ということです。

個人の場合に、個人が自己破産をした場合には、税金は免除されない、とよく言われますが、それは、個人の場合には、その個人が自己破産をしたとしても、個人として存在し続ける(死ぬわけではない)からです。

ですが、会社(法人)の場合には、自己破産をしますと、最終的には、会社(法人)が抹消されてしまいます。

個人で言うところの死亡です。

ですので、国・地方自治体(県、市)としても、滞納税金を請求しようにも請求する相手がいないのです。

ちなみに個人の場合も、滞納税金を負っている人が死亡して、誰も相続する人がいなければ同じことが言えます。

会社破産の場合の滞納税金をその代表者(代表取締役)である社長個人が支払う義務があるか

会社(法人)の滞納税金支払債務については、会社(法人)と個人は別の人格ですから、その債務を、連帯保証でもしていない限り、その代表者(代表取締役)である社長個人が支払う義務はありません。

ただし、結論から言えば、第二次納税義務の規定は、同様の新会社をすぐに設立したり、配偶者名義の会社を使ったりして同様の事業を行うという場合には、法人税の第二次納税義務が問題となり得ます。

その国税の賦課の起因となっている収益が法律上帰属するとみられる者

と言いますが、要するに、あなたの会社の事業をどこかに移して、それで売り上げないし収益をあげている会社・人がいる場合には、その会社・人にあなたの滞納税金の支払い義務も移るかもしれないということです。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、会社を自己破産させ・代表者(代表取締役)は個人再生することができるか、会社破産の場合に滞納税金はどうなるか、及び法人税の第二次納税義務につき、ご説明いたしました。~

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