【ご相談内容】アルバイトの場合の再生計画の履行可能性
新潟市内で居酒屋のアルバイトをしてます。
アルバイトとは言え、バイトリーダー、チームスタッフでして、土日も率先して、シフトに入っております。
こんなことを言うと大変、僭越ですが、下手な正社員よりも稼いでいると思います。
ただし、契約上は、3か月更新です。
もちろん、今まで一度も、更新しないなどと言われたこともないですし、3か月ごとに当然のように契約書を送ってくるので、それにサインをして返しております。
実を言いますと、社員にならないか?と言う話は、既に、2度ほど頂いております。
ただ、今は、自分なりにやりがいもあるし、仕事が楽しいと思えるのですが、正直、この仕事を自分の一生の仕事とするには、ちょっとまだ決断できないです。
加えて、正社員を見ていても、やたらと店舗売り上げのノルマに追い立てられている感じがして、正社員になるのが少し怖い気がするというのもあります。
話は変わりますが、今は、こうして居酒屋でバイトしておりますが、学生時代は、ものすごく遊んでおりました。
親からの仕送りは当然のことながら、遊びに消えていきました。
学校の授業にもでないで。
昼間は麻雀、
夜は友達とつるんで飲みにいく、
休みとあれば彼女と旅行に行く、
挙句の果てに車を購入する等、
今思えば、かなり滅茶苦茶な生活をしておりました。
キャッシングや学生ローンを使った結果、結局のところ、できた借金は500万円。
アルバイトでかなり稼いで返済に努めておりますが、なかなか減りません。
そこで、借金を作った原因が滅茶苦茶なので、破産しようとは思いませんが、せめて、個人再生ができないかなあ、という気持ちがあります。
それに、自分は、「破産」という言葉自体にかなり抵抗があります。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
個人再生はアルバイトでもできるのか~何が問題か?
自己破産の場合には、その人の職業は問題になりません。
正社員でもいいし、
アルバイトでもいいし、
何なら、無職だって大丈夫です。
それは、なぜかというと、自己破産は、免責許可が出た後は、それで借金は消滅するからです。
免責許可とは、全ての借金を支払う義務を免じてもよいと裁判所が許可することなのです。
人間というのは贅沢なもので、これまでは、借金を利息も含めて支払っていたものの、利息がカットになると、
「えっ?利息しかカットしてくれないの?元本は減らしてくれないの?」
となり、
元本も一部カットになると、
「えっ?元本の残りも支払わなくてはならないの?」
となり、
結局、
全額借金の支払い義務が免除される自己破産が一番楽だ、
という風に感じるのです。
それで、個人再生の場合には、借金の支払い義務は一部残りますので、その支払いをどうするかの問題が残ります。
どうするかもこうするかも支払う(返済する)しかないのですが、そのために、
継続的に収入を得る見込み
が必要とされております。
それは、なぜかと言いますと、個人再生の場合には分割払いで返済することが原則だからです。
まとめますと、個人再生は借金が全額免除になりません。
それこそゼロにはなりませんが、今の借金の額の3分の1以下にはしてもらえます。
ただ、大幅に債権をカットされますが、カットした後の残りの借金は分割で支払うことが求められます。
ですので、結局のところ、アルバイトでも、
「カットした後の残りの借金を分割で支払うこと」
ができると裁判所に納得させればOKなのです。
アルバイトの場合の再生計画の履行可能性
「カットした後の残りの借金を分割で支払うことができる」こと
を
「履行可能性」
といいます。
先ほど、
「裁判所に納得させればOKなのです」
と言いましたが、そう口で言うほど簡単ではないです。
まずは、これまで年間所得がどのようになっているのかを源泉徴収票や課税証明書で示します。
また、月々の所得がどのようになっているのかを給与明細で示します。
さらには、本当にその給与が入ってきているかを通帳の履歴で示します。
加えて、アルバイトでも、雇用が確保されていることを雇用契約書ないしは雇用条件通知書で示します。
これらの書類によって、継続的かつ安定的に収入が確保できているという経歴が示せればよいのです。
ただ、通常は、いろいろ問題が出てきます。
例えば、
アルバイトの期間が短い、
とか、
アルバイトの給与の額が月々大幅に違う、
とか、
通帳振り込みでなく現金手渡しだ、
とか、
雇用にあたってきちんとした雇用契約書等の書面を取り交わしていない、
とか、
いろいろ問題が出てくるものです。
その都度、
期間は短いけれども今後も長く(少なくとも3年程度は)続けるつもりだ、
とか、
正社員を勧められているほどで、会社から契約打ち切りにされる可能性はない、
とか、
給与の額が違うのは、季節的なもの(忘年会シーズンと年明け)で、年間を平均すれば、毎年同じ程度になる、
とか、
いろいろな主張、事情説明、上申等を裁判所にあげていく必要があります。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生はアルバイトでもできるのか、およびアルバイトの場合の再生計画の履行可能性について、ご説明致しました。~