会社役員だと個人再生は失敗しますか?
小さな会社をやっております。
会社の役員は私と妻の2人で、会社はさすがに破産せざるを得ない状況ですが、役員である私たちが自己破産はずるい、と思いましたので、自己破産はしません。
ただし、連帯保証分をそのまま返済できるかというと、なかなかそれは厳しい状況ですので、我々役員はいくらかでも返済したいので個人再生の道を選び、個人再生からの復活を期しております。
しかしながら、個人再生の道を選ぶといっても、個人再生を代表取締役である私がすることができるのか、自己破産を代表取締役は選ぶように言われるのか、自己破産と役員(取締役)の関係が分かりません。
個人再生は失敗に終わるでしょうか?
また、個人再生を選ぶと税金や奨学金(長男の分)の連帯保証分がどうなるかという、個人再生と税金の関係、個人再生と奨学金の関係も気になります。
個人再生では家計簿を提出させられると聞いておりますが、生まれてこの方、家計簿など一度もつけたことがないのですが、その場合はどうすればよいのかも教えてください。
自己破産はずるい?
自己破産をすると全ての債務の返済義務がなくなるので、自己破産はずるい、と債権者から言われたり、また、債権者から言われなくても、そう自分で思い込む人がいます。
もちろん、個人再生を選択して、いくらかでも圧縮した債務を返済することができるのであれば、最後は、ご本人の判断なので、何も個人再生することができるのに自己破産を無理強いされることはありません。
ですが、自己破産でなく個人再生をするにはいくつかのハードルがあります。
個人再生と代表取締役
会社が破産をして、その代表取締役は個人再生をするというケースもたしかにあります。
ですが、多くの場合には、社長である代表取締役も自己破産の道を選びます。
その理由は何かというと、連帯保証債務が多すぎて払いきれない、ということと、そもそも、個人再生をすることができる借金の額の上限が5000万円までだからです。
5000万円までしか個人再生は利用できないですし、会社の借金というとかなり大きな額になることが多いのです。
自己破産を代表取締役が選択する理由
そもそも、借金の額が多すぎるというのが一番の理由ですが、そのほかにも、個人再生の場合には、継続して収入を得られること、ということが要件としてありますが、通常、会社の自己破産をしたばかりの代表取締役社長は、仕事がないことが多いのです。
個人再生は、あくまでも圧縮した借金を返済することを内容とする手続きですので、収入がない場合には利用できないのです。
自己破産を役員(取締役)がするかどうかは自由
代表取締役は、連帯保証人であることがほとんどで、その場合には、負債の額が大きすぎるために、自己破産を選ばざるを得ない、ということでしたが、他の役員(取締役:常務、専務、平取締役等)は、連帯保証人であることはあまり多くなく、自己破産でなくても、個人再生をすることも可能です。
ただし、繰り返しになりますが、定期的な収入が必要です。
今までは、会社の取締役だった人が、また普通にお勤めで職を得るというのは意外に大変なことですし、かといって、事業を何か始めるといっても、それで定期収入を得るのもまた大変なことではあるのです。
個人再生の失敗
仮に、連帯保証債務が5000万円以下で、幸いにも次の就職先が見つかったとしても、個人再生には、まだハードルがあります。
個人再生のうちの小規模個人再生という手続きの場合には、債権者による書面決議という手続きがあるために、債権者の過半数が個人再生をすることについて反対してくると、そこで個人再生はストップしてしまいます。
個人再生は失敗に終わるわけです。
なお、債権者による書面決議のない給与所得者等再生という手続きもありますが、その類型の個人再生を選択した場合には、返済額が多くなることが多いので注意が必要です。
個人再生の家計簿
個人再生手続きにおいては、たしかに、家計簿のようなもの、家計の収支がわかる書類を提出させられますが、何も、これまでのすべての家計簿を提出しなければならないわけではありません。
個人再生の申し立てる前の2,3か月間の家計簿と、個人再生が始まったあとの1,2カ月の家計簿を提出すればよいので、個人再生を申し立てることが決まってから準備すれば十分に間に合います。
個人再生と税金
個人再生のみならず、自己破産の場合であっても、住民税、固定資産税、自動車税等の税金は免除されないのです。
税金のように、どんなに債務整理の手続きをとっても免責されない債権を非免責債権、非減免債権と言います。
従いまして、滞納した税金については、税務署や県、市等の行政と協議して、かれこれ債務整理の手続きをしており分割でしか支払えない、と分割納付を認めてもらうしかないのです。
ただ、行政側もすんなりではないですが、そうでなければ払えませんとしかならないので、最終的には分割納付を認めてくれます。
個人再生と奨学金
こちらが一番厄介かもしれませんが、奨学金の連帯保証をしている方が個人再生をいたしますと、連帯保証人としての資格を失います。
そして、そのうち、「新しい連帯保証人を立ててください」と連絡が来るようになります。
ですが、このような状況下で奨学金の連帯保証人になっている人が、そうそう見つかるものではありません。
ただし、実際に奨学金を借りている方が問題なく返済していれば、それ以上に、何かをされるわけではありません。