【ご相談内容】最低弁済額の算出方法(債権カット率)

個人再生をすることにより、今ある借金はいくらになるのでしょうか?

現在、37歳、独身男性。

彼女なし。両親健在(新発田 在住)。

持ち家なし。

家賃7万8000円(共益費・管理費込み、新潟市内)。

会社員(化学メーカーの研究開発室・製品管理課兼務、役職なし)。

昨年度の源泉徴収票によると、税込み額面年収480万円。

月額手取り給与34万円。

預貯金なし。

車あり(中古で40万で購入、平成22年初年度登録10万キロ越え、日産車)。

生命保険・医療保険2口加入(いずれも給与天引き。解約返戻金不明)

退職金制度あり(額不明。勤続年数15年)。

財産的に目ぼしいものはないですが、強いてあげるなら、

・音楽CD約1000枚。

・映画DVD 300枚。
 
・ゲーム機4台。

・ゲームソフト200個。

・スマホ2台。

・タブレット2台。

・パソコン4台(ノート2台、デスクトップ2台)。

負債の内訳としては、

・クレジットカード会社4社   合計300万

・カードローン会社2社     合計200万

・消費者金融(サラ金)会社2社 合計200万

総合計700万

結局、個人再生をすることにより、今ある借金はいくらになるのでしょうか?

どうやって、返済する額を決めるのでしょうか?

自己破産は絶対にしません。

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

最低弁済額の意味

個人再生において返済しなければならない額を「最低弁済額」と言います。

「最低弁済額」とは、「最低」でもそれ以上は「弁済」しなければならない「額」のことです。

最低弁済額の計算方法(債務免除率・債権カット率)

そして、その最低弁済額がどのようにして決まるのかというと、

第一には、負債総額から決まります。

負債総額が100万円未満の場合,最低弁済額は「その額全額」

負債総額が100万円以上500万円未満の場合,最低弁済額は「100万円」

負債総額が500万円以上1500万円未満の場合,最低弁済額は「負債総額の5分の1」

負債総額が1500万円以上を超える場合,最低弁済額は「300万円」

負債総額が3000万円を超え,5000万円以下の場合,最低弁済額は「負債総額の10分の1」

ですので、あなたの場合には、負債総額が700万円ですので、その5分の1の額である140万円が最低弁済額になるのが原則です。

清算価値保障

以上が、最低弁済額の基準になるのですが、

【最低弁済額は、清算価値を下回ってはいけない】

という別途の基準があるのです。

清算価値」というのは、要するにあなたが「持っている財産の価値」のことです。

預貯金や持ち家はないようですが、保険の解約返戻金とか退職金、そして、動産もお持ちのようです。

そして、それらの合計額が140万円を越えなければ、140万円が最低弁済額のままですが、もし、例えば、それらの合計が200万円だとすると、最低弁済額が200万円にまで引き上げられます。

ちなみに、生命保険の解約返戻金は、お問合せしていただき、出てきた金額そのままですが、退職金は、計算して算出された退職金の8分の1の金額を有しているものとして計算します。

実際に退職してお金をもらっているわけではないので、そのままの金額で計算されて、

最低弁済額が引き上げられてしまうと支払いが困難になるおそれがあるからです。

ちなみに、現実に退職した場合には、そのお金は現金あるいは預貯金としてその額で計算されます。

また、お車については、お話のようなお車の場合、個人再生においては、無価値と扱われるでしょう。

給与所得者再生(可処分所得)

個人再生には、債権者の決議を経なければならない「小規模個人再生」と、債権者の決議を経る必要がない「給与所得者再生」というものがあります。

債権者の決議を経る必要がないという点だけとらえると「給与所得者再生」の方がよい気がします。

しかし、給与所得者再生の場合には、最低弁済額の基準として、

【「可処分所得の2年分」を下回ってはならない】

という基準がついてきます。

可処分所得」とは、「所得」のうち「処分」が「可」能な金額を言います。

給与額面から、税金、社会保険、年金などを引いて、さらに、

「この地域この家族構成ならこの程度の生活費は必要であろう」

という金額(国が勝手に決めます)を差し引いた金額を引いた残りの金額が「可処分所得」になります。

そして、その2年分を金額が140万円を下回れば、最低弁済額は変わりませんが、可処分所得2年分は、あなたの税金等の詳細を見てみないと具体的な計算はできないものの、まず間違いなく、可処分所得2年分の金額の方が高いでしょう。

例えば、その金額が300万円であるとすれば、その額が最低弁済額になります。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生における最低弁済額の算出方法、清算価値保障、給与所得者再生における可処分所得基準等について、以上、ご説明いたしました~

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