【ご相談内容】「住民票除票」 「戸籍附票」 について

私の新潟の湯沢に住んでいた叔父が亡くなり、その唯一の相続人である息子(私のいとこ)が相続放棄をしてしまいました。

湯沢の叔父が住んでいた土地・建物と山林が、どうやらあるようですが、詳細は不明です。

ただ、甥である私及び姪である妹に相続権が回ってきたことだけは確かです。

そのいとこが相続放棄をした理由も不明で借金があるかもしれないし、その湯沢の不動産の価値もよく分からないので、相続期限の延長をすることにしました。

当初は自分たちで調べながらやろうと思ったのですが、その必要書類が大変沢山あります。

1)被相続人の住民票除票又は戸籍附票

2)伸長を求める相続人の戸籍謄本

3)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

4)被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

5)被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

6)代襲相続人(おい,めい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

などがいるそうですが、

「住民票除票」

「戸籍附票」

「戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本」

の意味がそもそも分かりません。

【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~

住民票除票とは

住民票とは、ある住民が日本のどこの住所に住んでいるかを記録したものです。

住民票除票とは、ある住民がその住所からいなくなり、その住所から除かれた記録です。

住所からいなくなる理由としては、引っ越しで別のところにいなくなる、という場合もありますが、その住所において死亡した、という場合もあります。

住民票と異なり、その住民がもはやその住所に住んでおらず、

かつて、この住所に住んでいたこと

と、

その住所から転出した日及び転出先(あるいは、死亡した日)

が記載されているだけですので、あまり意味のある書類ではないように思えます。

しかし、例えば、不動産の登記簿謄本には、所有者の氏名のほかに住所が載っていますが、被相続人の戸籍や最後の住民票の住所と一致しない場合があります。

氏名が同一でも同姓同名ということもあり得ます。

その場合に、住民票の除票をとれば、その住所に住んでいたことがあるということが分かり、かつ、本籍地も載っていますので、本人の照合ができることになります。

戸籍附票とは

戸籍附票とは、戸籍とセットで保管される住所の変遷の記録です。

住民票でもその前(複数ある場合にはその前の前の前・・・)の住所の住民票除票を集めてもやはり、住所の変遷をたどることができます。

したがって、戸籍附票も住民票除票も使い道としては同じです。

ですので、相続期限延長の必要書類としても、

被相続人の住民票除票『又は』戸籍附票

と、どちらかが提出されればよいとされているのです。

戸籍の附票の場合には、本籍を変更(結婚して、親の戸籍から独立した場合等)していると、現在の附票には、戸籍を独立させた日以降の住所の変遷しか記録されません。

したがって、その前の戸籍(結婚等の場合には親の戸籍)の附票をとらなければなりません。

戸籍謄本とは

戸籍とは、その人の出生から死亡までの記録、すなわち、誰と誰との間にいつ生まれた(生年月日)という記録のほか、婚姻(離婚)、養子縁組(離縁)等の身分の変動を記録したものです。

戸籍謄本とはその写しのことをいいます。

ちなみに、謄本のほかに「抄本」というものもあります。

謄本と抄本との違いは、謄本はそのままコピーしたもので、抄本は一部を抜粋したコピーのことです。

除籍謄本とは

除籍謄本とは、誰もいなくなった戸籍の謄本です。

戸籍には、1人だけが所属している場合もありますが、夫婦とその未婚の子供達が所属している場合もあります。

いずれにせよ、死亡でその戸籍の所属から抜けたり、結婚して独立の戸籍を作りそちらの戸籍に移って元の戸籍から抜けたりして、最後はその戸籍は空っぽになってしまいます。

その誰もいなくなった戸籍の謄本が除籍謄本です。

ところが、ややこしいのですが、日常社会においては、「除籍謄本」は、もっと広い意味で使われているのです。

例えば、ある戸籍に、夫・妻・子供の3人が記録されており、夫だけが亡くなったとします。

その戸籍謄本を取得すると、夫の欄が「除籍」となっていますが、それは、夫だけがその戸籍から除かれていることを意味します。

したがって、誰もいなくなったわけではないので、それは除籍謄本ではなく、「除籍」の記載がある戸籍謄本なのです。

よく、銀行とか司法書士から、

「【除籍謄本】をご準備ください」

と言われる場合があるのですが、それは、その人が戸籍から死亡により除籍されていることを確認したがっているのです。

ですから、戸籍謄本に除籍の記載があるものを取得すればよいのです。

そして、たまたま、その亡くなった方が戸籍に最後に残っている人だった場合には、その戸籍謄本は、除籍謄本になるわけです。

改製原戸籍とは

改製原戸籍とは、戸籍の様式が変更される前の戸籍のことをいいます。

法改正の都度、新しい様式の戸籍に書き替え(改製 かいせい)が行なわれるのですが、この書き替えをする前の戸籍のことです。

単に、「原戸籍(げんこせき・はらこせき)」と呼ばれる場合もありますが、正式には「改製原戸籍」といいます。

法改正などによって、新しい様式の戸籍に書き替えるといっても、その際には、

「死亡」、「離婚」などの除籍の事項

は省略されてしまうのです。

ですから、「原戸籍」を取得する必要が出てくるのです。

「これだけ、データベースやプログラミングの技術が進んでいるのに、そんなデータベースも国は作れないの?」

とお思いになるかもしれません。

それは、弁護士も含めて皆が疑問に思っているところです。

ですが、現状、このような面倒なことになっているのです。

それに、今回のケースのように、

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

を求められる場合には、戸籍の様式が変わる前の戸籍が必要となる場合もありますので、その場合には、「原戸籍」が必要となってくるのです。

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