【ご相談内容】破産者マップとは?
閉鎖にはなったようですが、「破産者マップ」というものがインターネットに公開されていたようです。
その内容は、どこに破産者がいるかどうかをグーグルマップ上において知らせるようになっていたとのことです。
私は内容は見ていないのですが、私の場合には、個人再生なのでセーフだったと考えてよいでしょうか?
そもそも、破産者の情報をどうしてこんな形で整理することができるのでしょうか?
どこかからブラックリストが流出しているのでしょうか?
それにこの「破産者マップ」を作った人の狙いはなんなのでしょうか?
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
「破産者マップ」の内容
「破産者マップ」とは、グーグルマップ(Googleが運営する地図情報)上に破産者等の官報情報を紐づけて、グーグルマップ上でクリックすると破産者等の情報を見ることができるものでした。
すでに、閉鎖自体はされているようですが、その公開した行為自体が名誉棄損ないしプライバシー権侵害になるのではないかとの問題が残っています。
「破産者マップ」に含まれていた情報(個人再生)
名称は、「破産者マップ」ですが、これは、官報に載っている債務整理関係の情報を吸い上げて、データベース化しているので、実は、個人再生をした人の情報も「破産者マップ」に掲載されていたのです。
ちなみに、官報とは、国が発行する広報誌のようなもので、法令の新設・改正とか、裁判所の公告としての破産・再生関係情報等々が掲載されるものです。
そして、個人再生手続きについても、官報に掲載されるのです。
したがって、「破産者マップ」とはいうものの、その実質は、法的債務整理者マップというものでした。
官報の公開性
官報は誰でも閲覧できます。
独立行政法人 国立印刷局 が運営している「官報情報検索サービス」というものがあります。
それは、誰でも月額2160円を支払えば、例えば、「破産」「再生」などというキーワードで、破産者や民事再生者を検索することができるというものです。
つまりは、本来は公開されているものをより、分かりやすく、グーグルマップ上に整理したのみなのです。
破産者マップ公開行為の違法性
従いまして、現在、「破産者マップ」に個人情報を掲載したことが、名誉棄損・プライバシー権侵害、にあたるのではないかという問題が生じております。
「破産者マップ」の運営者は、本来は公開されているものをより、グーグルマップ上に整理しただけだ、と反論してくることは必定です。
それが通るかどうかは実際の裁判を見てみないと分からないです。
ですが、仮に、名誉棄損・プライバシー権侵害が認められたとしても、
違法ではあるが損害はない、
とされるか、
雀の涙ほどの損害賠償金ないし慰謝料しか認められない
という結論になる気がします。
ただ、そもそも、何のためにこんなことを手間と費用とをかけてまでやったのかを究明する意義はあります。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、破産者マップとは?破産者マップに含まれる情報、破産者マップ掲載行為の違法性について、ご説明いたしました~