【ご相談内容】住宅資金特別条項、再生債務者の居住要件
新潟県新潟市在住で、私自身は、賃貸マンションに住んでおりますが、妻と子供2人は、同じ新潟市内ではありますが別の場所で戸建てに住んでおります。
ちょっと複雑なのですが、現在、夫婦仲が上手くいっておらず、新潟家庭裁判所というところで、夫婦関係円満調整調停というものをやっております。
妻には、弁護士がついており、この弁護士が私たち夫婦の仲を引き裂こうとしております。
小さな夫婦喧嘩を大げさに言いたてて、離婚だ、慰謝料だと騒ぎ立てて、妻も洗脳されています。
私は、揉めたくないし、子供たちを不安がらせるのはよくないので、妻に頭を冷やしてもらうために、一時避難の意味で別居しただけです。
妻と直接話せれば、分かってもらえるはずなのですが、妻の弁護士が邪魔をしてその機会を与えません。
妻の弁護士が言っている離婚理由の一つとして、私の借金問題というのがありますが、これは、私が数年前にとあるフランチャイズビジネスをやってうまくいかなかったときの借金です。
私自身は、酒もたばこもギャンブルも一切しない人間です。
子供もかわいがっていますし、家事もかなりやってます。
ということで、借金の整理をするのは、妻のためでもあります。
自宅についは、一度たりともローンの返済を怠ったことはなく、もちろん、借金の整理も個人再生をつかって自宅だけは何としても維持していくつもりです。
ところが、実は、先日、司法書士事務所に行って、個人再生を頼もうとしたら、
「あなたは、すでに自宅を出て別居しているから、住宅ローン特則を使って家を守ることはできない」
「どうしても、個人再生をやりたければ強引にでも家に戻るしかない」
って言われてしまいました。
どうすればいいでしょうか?本当に、私の場合には、住宅ローン特則は使えないのでしょうか?
なんで、別居していると駄目なのですか?
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
住宅資金特別条項の対象に別居中の妻子が住んでいる戸建てが該当するか
住宅ローン特則、すなわち、住宅資金特別条項が、仮に、別居中の妻子が住んでいるその戸建てにも適用できるとすれば、今までと同じようにローンを支払い続けて、他の借金を圧縮することが可能です。
ただし、住宅ローン特則を利用するためには、その住居は、個人再生を申し立てた人が、「居住用」に利用しているということが原則です。
ですが、居住用に利用している、すなわち住んでいるといっても、24時間そこにいなければならないというわけではもちろんありません。
出張の場合
例えば、出張で家を空けるなんてこともあるでしょうが、その場合には、別に、居住の要件には影響しません。
単身赴任の場合
それでは単身赴任はどうでしょうか?
単身赴任先は仮住まい先に過ぎず、単身赴任が終了すれば帰る先は自宅しかありません。
生活の本拠として居住することが予定されている場所であれば、居住の要件を満たします。
もちろん、予定なので、その先がどうなるかは勤め人側には分かりません。
居住の要件は主観的なものも考慮して決める
ですので、居住の要件というのは、その意味ではかなり主観的な要件であります。
そこで、あなたのケースについて検討しますと、
1)そもそも、あなたが家を出ていますが、夫婦間の合意であなたが家に戻らないと決めたわけではない
2)妻子についても、そのままそこに居住し続けるとは限らない
3)夫婦関係調整調停でうまく円満調整ができれば、また、あなたたち一家は一緒に住むことになる
4)少なくとも、あなたが自宅に住む意思を有しており、また、自宅に住む権利を有している
等々の説明をすれば、住宅ローン特則の適用は可能であると思われます。
別居中でかつ離婚確定の妻子が住んでいる戸建てに住宅資金特別条項は適用されるか
たまにあるパターンですが、今の状況から、さらに一歩進んで、離婚はするけど、その離婚の条件として、
・分かれた妻と子供が夫名義のマンションに住み続ける
・マンションのローンは夫が払い続ける
という内容の合意をする場合があります。
財産分与とも養育費とも言い難いですが、実務上、離婚後の妻子の居住場所確保の方法としてこういうやり方があります。
そうすると、かかる約束の下で、個人再生を申し立てたとしたら、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)は使えるでしょうか?
それは、ひとえに、その離婚の際の合意の定め方によると思います。
仮に、例えば、子供が20歳になるまで、あるいは、大学を卒業するまで、などと定めてある場合には、その後は、自宅はあなたのものとなり、あなたが居住することになりますので、やはり居住の要件は失われていないとみるべきでしょう。
他方で、ローンを支払い終わったら、妻や子供に名義を移転するなどと書いてある場合には、もはや、あなたが住むことは考えられないので、少なくとも、あなたの居住のための家とは言えないでしょう。
そして、当事者間で裁判所を介さずにそのあたりをあいまいにしたままという場合には、今からでも遅くないので、よく話し合ってその家をどうするかを協議しましょう。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生手続において、別居中の妻子が住んでいる戸建てに住宅ローン特則(住宅資金特別条項)が適用されるか、についてご説明致しました。~