【ご相談内容】相続放棄手続きの流れについて

相続放棄手続きの流れを教えてください。

父が亡くなりましたが、実は、父はギャンブル等で借金があり、借金の整理の手続きを司法書士に依頼して行っていました。

ちょうど、来月から支払いを開始するところでした。

そういうわけで、結局のところ、借金の整理をしないまま終わってしまいました。

司法書士からは、

「もう支払いよりも相続人の方が相続放棄をした方がいいのではないか」

と言われました。

ただ、その司法書士は、

「債務整理専門なので、相続放棄のことはあまり分からない」

とのことで、相続放棄手続きの流れを聞いても、詳しくは教えていただけませんでした。

手続きが複雑なのかどうかも含めて、相続放棄手続の流れを教えてもらいたいです。

【ご回答】弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明

相続放棄手続きの流れ

(1)相続放棄手続きの書類の収集・作成・提出

相続放棄手続きは、家庭裁判所に対してなすものですが、その際には、相続放棄申述書という書類を作成して、それに必要書類を添付して、加えて、収入印紙及び切手をあわせて提出しなければなりません。

必要書類は、次の通りです。

・被相続人(亡くなられた方)の住民票除票又は戸籍附票

・申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本

・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

相続放棄をする方が、孫やひ孫であるとか、父母・祖父母であるとかいう場合には、さらに必要な書類が増えます。

(2)裁判所からの照会

相続放棄申述書等を管轄の家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所は相続放棄の書類上の不備がないか審査をします。

そして、書類の不備があればその連絡があるので、その補完をします。

書類の不備がない状態になった場合には、家庭裁判所から「照会書」と題する書類が送られてきます。

その照会書に回答して、裁判所に返送します。

加えて、審理のために必要な場合、裁判所から追加書類の提出が求められることがあります。

その他に、直接事情をお尋ねしたいと、裁判所から呼出しがある場合もあります。

いずれにせよ、裁判所からの照会や呼び出しには必ず応じるようにしてください。

(3)相続放棄申述受理証明書

相続放棄に問題がなければ1か月~2カ月程度で、相続放棄が受理されますが、その受理されたことを証明する書類が、「相続放棄申述受理証明書」です。

ちなみに、こちらは、相続放棄をした本人のみならず、事件の関係人も申請することは可能です。

以上が手続きの流れになります。

なお、手続きの複雑さについては、例えば、

自らが相続放棄できない行為をしてしまった

とか、

被相続人の死亡から3か月経過してしまった

等の事情がある場合には、普通に記載しても通らないと思います。

記載の仕方に留意すべき点がありますので、複雑とか複雑でないという以前に、弁護士等の専門家に依頼した方がいいと思います。