【ご相談内容】限定承認の手続きは自分で?弁護士に一式まとめて依頼?

父が個人で建築業をしていたのですが、先日、亡くなりました。

私は、4年ほど前から父の仕事を手伝ってきたので、父の建築の仕事の内容は私が困らない程度には把握しておりますが、経営面については、父は通帳すら見せないようにしていたので、儲かっていたのかどうか、全く分かりません。

ですので、正直、父の遺産がプラスなのか、マイナスなのか分かりません。

税理士に尋ねても、

「あなたのお父さんが言ったとおりに申告していただけなので、正直な所は、分からない。」

と言われてしまいました。

ただし、 借り入れがあるかどうかについては、金融機関からの借り入れ分だけは税理士も把握しており、金融機関の借り入れは、日本政策金融公庫だけとのことです。

しかし、おそらく、というか 多分ですが、いろいろな問屋や外注さんへの支払いはいろいろあると思います 。

私は、父の家業を継ぐと決めている関係で相続放棄はあり得ないのですが、万が一のために、限定相続をした方が、いいのではないかと思っています。

限定相続が手間がかかるということなので、自分でできるか心配です。

可能であれば、弁護士さんか誰かに全部一式お願いしようかと思いますが、限定相続の大体の流れと私は何をすればいいのかを教えてもらいたいです。

【ご回答】~弁護士〔新潟市(新潟県)〕からのご説明~

限定相続ではなく限定承認

遺産がプラスかマイナスか分からないから、『限定承認』したいということですね。

かしこまりました。

言葉の問題ですが、「限定相続」ではなくて、「限定承認」と言います。

なぜか、「限定相続」っていう人が結構いますね。

どこから来ているのでしょうか?

何かで、そういう言い方がはやっているのでしょうか?

限定承認の流れ

1)裁判所に限定承認の申述をします。

限定承認の申述は、相続人全員で行う必要があります。

申述とは、その名の通り、申し述べることです。

また、申述を行う際には、財産目録(相続財産として、預金、不動産、保険等どのような財産がいくらあるかを記載したもの)が必要となります。

2)限定承認を行ったことの公告及び債権者に対する債権届の催告

「限定承認をしたので、債権をもっている人はいくらの債権を持っているのか届け出てください」

と促すわけです。

3)相続財産の現金化

不動産等がある場合には、その不動産等を売却して現金化する必要があります。

その際に、相続人自らが自分で買うこともできますが、不当に安く購入しないように裁判所の鑑定が必要です。

4)相続財産からの債権者への支払い

届け出てきた債権者に支払いを行います。

もし、相続財産の方が債権額よりも少ない(債務超過)の場合には、債権額に応じて按分して支払います。

限定承認のために依頼者の方に行っていただくこと

基本的に、弁護士に一式ご依頼いただけますが、依頼者の方にお願いする事項もございます。

1)限定承認申述手続きの費用の準備

限定承認申述の手続き費用・弁護士費用等をご準備いただきます。

2)相続人全員の取りまとめ

限定承認は相続人全員で一致団結して申述しなければなりませんので、相続人の取りまとめをお願いします。

3)相続財産の買い取り

相続財産は現金化するのが原則ですが相続財産を買い取ることもできます。ただし、買い取りされる場合には買い取り資金をご準備いただきます。

4)財産目録の作成(協力)

裁判所に提出する財産目録の作成は弁護士事務所で行いますが、どのような財産があるのかを確認するためにご協力願います。

5)債権者調査(協力)

債権者に催告をしなければなりませんので債権者調査にご協力願います。

他にも細かなご依頼事項がありますが、主なところとしては、以上のような感じになります。