【ご相談内容】日本学生支援機構に延滞金免除要請と保証人

新卒で勤めた会社で営業職をしていたのですが、その会社が一年で民事再生法の適用を受けて倒産してしまいました。

その後、入社しては辞めて、また転職しては辞めてを繰り返しているうちに、クレジットカードのキャッシングを利用するようになり、段々、借金が増えてしまいました。

そして、奨学金も滞納してしまいました。

日本学生支援機構から督促の書類や電話があり、事情を説明しましたが、全く聞く耳を持ってくれず、

「とにかく延滞を解消できるようになんとか工面してください。」

としか言われません。

「他にも借金があるし、仕事もなくて今も求職中です。どう考えても無理じゃないですか?」

と言ったのですが、

「それはそちらの都合です。とにかく、すみやかに延滞が解消されなければ、連帯保証人に請求がいきますので。」

とガチャッと切られてしまいました。

連帯保証人は母親ですが、年金暮らしで、とても奨学金の肩代わりできる余裕などありません。

ただ、高齢の年金一人暮らしの母親にまで、公的機関である日本学生支援機構が請求することがあるのでしょうか?

それから、いつまでも、奨学金を延滞にしておくこともできないので、延滞金を免除してもらって、任意整理にしたいのですが、自分個人で奨学金と話し合いはできるでしょうか?

それとも、弁護士に依頼しないと難しいでしょうか?

【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~

日本学生支援機構のホームページ上の督促の告知

日本学生支援機構のホームページではこのように記載されております。

”本機構では、返還金を延滞すると、本人、連帯保証人保証人に対して、文書と同時に電話による督促を行うこととしております。”

連帯保証人には延滞が続くと、間違いなく、確実に連帯保証人に対して督促がなされます。

また、サービサーという債権回収代行会社に、取り立てが依頼されることがあります。

日本学生支援機構のホームページでは”債権回収会社による架電・督促について”このように記載されております。

”本機構の学資金(奨学金)は、債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年10月16日法律第126号)において「特定金銭債権」と定められており、 弁護士法(昭和24年法律第205号)の特例として債権回収会社が特定金銭債権の管理および回収を行うことを法務大臣により許可されています。”

それで、どのような督促がなされるのかというと、

”債権回収会社については必要な規制が行われその業務の適正な運営の確保が図られています。”

と書いてはありますが、

”本機構が委託した債権回収会社は、電話、文書および自宅等への訪問により督促を行っておりますが、自宅等への訪問の際、直接現金を徴収することはありませんので、ご注意ください。”

となっており、「自宅等への訪問」まであるとのことです。

日本学生支援機構の債務整理への対応

任意整理といって、現在ある債務の額を、将来の利息を発生させずに、長期の分割払いにして、支払っていく債務整理の方法があります。

例えば、残債務100万円、利息年5%、延滞金がすでに10万円溜まっているケースについて考えてみますと、

100万円の50カ月払いで、2万円ずつ支払い、その支払いについては利息をつけずに、延滞金は免除する

というような債務の返済方法を認めてもらう方法です。

ところが、日本学生支援機構は、このような債務整理の方法に応じません。

将来の利息は免除してくれませんし、延滞金も免除してくれません

しかも、期限の利益の喪失と言って、一定回数支払いを怠ると、その後は一括払いをするように求められます。

もともと分割でさえ支払えなかったのですから、さらに一括で支払えと言われても普通は支払えません。

個人再生ないし自己破産による奨学金の債務の整理と保証人

そこで、結局は、法的な強制力ないしは拘束力のある債務整理の方法をとらざるを得ません。

もちろん、さすがに、日本学生支援機構も、裁判所による個人再生の認可決定や自己破産による免責許可を無視して、支払いの督促を続けることはできません。

しかしながら、大きな問題点は、保証人をとられていることです。

借りた本人、つまり、債務者本人は、個人再生により大幅な債務免除や自己破産による全額免除を受けることができますが、保証人はそうはいきません。

しかも、任意整理もできないとなると、保証人も一緒になって、個人再生や自己破産をしなければならなくなります。

そこで、このような人的担保、つまり、保証人は廃止して、機関保証、すなわち、「保証協会」に、万が一の際の支払いをしてもらうという制度に切り替えるように財務省や文科省が検討しています。

ただ、機関保証を選択すると、保証料を支払わなくてはならなくなります。

ですが、これから奨学金を選択する方は、絶対に機関保証を選択することをお勧めします。

保証人の方が保証料を支払わなくて済むからなどと安易な道を選ぶと後で、保証人にえらい迷惑をかける恐れがあります。

~以上、弁護士(新潟)から、奨学金を滞納した場合の日本学生支援機構の督促について、それに対する債務整理の方法やさらにそれに対する日本学生支援機構の対応(任意整理・延滞金免除の拒絶)等についてご説明いたしました。~

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