【ご相談内容】個人再生の家計簿(家計収支表)の項目及び書き方
新潟県中魚沼郡津南町で、鉄工関係の仕事をしております。
以前の同僚が独立する際に資金を借りるので連帯保証人がどうしても、あと1人必要だというので、仕方がないので、連帯保証をしてしまいました。
もともと、いやな予感はしていたのですが、案の定、彼の工場は赤字続きになり、私は何度も、
「もっとしっかりしないとダメだ」
と励ましに行っていました。
ところが、もはや、人に迷惑をかけることもなんとも思わないどころか、逆切れまでしだして、私に保証人になるように頼んできたときの態度はみじんも見せないようになりました。
そして、夜逃げしました。
電話も当初は少なくとも鳴ってはいましたが、ついには、
「この電話番号は現在使われておりません。」
になりました。
そして、ついにローン会社から
「一括弁済のお知らせ」
という書類が来ました。
最悪です。
ただし、私は妻も子供いますし、住宅ローンだってあります。
そこで、司法書士に勧められて個人再生というものをやることになったのですが、家計簿をつけるように言われてしまいました。
生まれてこの方、家計簿なんてつけたことがなく、かといって、妻は専業主婦ですが、今回の件は、妻には内緒なので、妻にも頼めません。
書式というか家計簿をつける紙はもらいましたが、いろいろ細かく書いてあって、頭が痛くなってきました。
特に、収入は私の給与しかないので分かるのですが、
子供手当とかも書かないとダメなのか、
とか、
車検の費用はどこにかけばいいのか、
とか、
そもそも、そんなに律義に領収書なんてとっていないのに、どうやって書けばいいのか?
とか、
だんだん、こんなことで個人再生ができるのかと不安です。
【ご回答】~弁護士(新潟市・新潟県)から~
個人再生の必要書類~家計簿(家計収支表・家計の状況)
個人再生の必要書類にはいろいろなものが含まれますが、その中の一つに家計簿があります。
家計簿は「家計収支表」、「家計の状況」などとも呼ばれます。
個人再生で家計簿を提出しなければならないとされているのは、そこからいろいろなことが分かるからです。
(1)未提出通帳の把握
水道光熱費とか、保険とかが記載されていると、それに対応する銀行の通帳があるはずですので、提出されていない通帳の存在を把握できます。
よく、裁判所から、
「〇×生命の保険料については、提出されている通帳上には引き落としが見当たりませんが、どこから引き落としされていますか?」
「電気代の支払いはどのようになっていますか?」
「お給料はどの通帳に振り込まれていますか?」
等々、質問されることがよくあります。
(2)個人再生の再生計画の履行可能性の判断
個人再手続きは、自己破産の場合と異なり、あくまでの一定の額を一定の期間内に返済することが必要です。
もちろん、もともと有している債務全額ではなく、その8割とか大幅な債務のカットがなされますので、総額の返済負担は大幅に軽減されます。
ですが、たとえ、債務が2割になったとしても、逆に言えば、その2割の負債は何が何でも返済する必要があります。
家計の支出がどうなっているのかを把握することにより、今後、個人再生において、支払いをしていくことができるのかどうかが分かります。
例えば、給与が20万で、生活費支出が20万だった場合、余剰はゼロです。
支払いする余力はありません。
このように、家計の支出から個人再生の履行の可能性が判断されます。
これは、申立人自身の目安にもなります。
実際に、家計の支出を作成することにより、自分ないしは自分の家族の生活の収支を見つめなおし、
「ああ、このままでは、たとえ個人再生をしたとしても、月々の返済をしていくことは無理だな。」
とか、
「もう少し、家計の支出のここを切り詰めれば返済はなんとか可能だな。」
とか、
「今月は、たまたま、スノータイヤを買って、車検を通したから支出が多かったけど、来月からは余剰がでるな。」
とかの判断ができます。
返済不能に陥る人は、このような収支をまとめたり、見直したりすることを非常に苦痛に感じる傾向があります。
(3)偏頗弁済の発見
偏頗弁済というのは、難しい言葉ですが、特定の一部の債権者へのみ返済をすることです。
個人再生が開始した場合には、一旦、債権者に対する返済が禁止されます。
債権者に対する返済は、裁判所に認可された再生計画に基づいてなされなければならないのです。
特定の債権者にだけ返済するのは、債権者平等に反するからです。
家計の収支からは、この偏頗弁済の有無が分かります。
例えば、家計の状況で、支出の項目に、
「△□さんへの返済」
とあれば、そこで偏頗弁済をしていることが分かります。
個人再生の家計簿(家計収支表)の項目及び書き方
裁判所から提供されている書式を見るとかなり細かいので、たじろいでしまう人がいます。
ですが、何も、全ての支出について、きちんとレシートを保存して、1円単位でぴったりと正確なものを作成しろと、指示されているわけではありません。
メリハリをつけるポイントがあるのです。
例えば、給与については、銀行に振り込みがありますので、1円単位まで分かりますよね?
ですので、「給与」欄は、通帳を見て、または、現金手渡しでも給与明細を見て、正確な数字(金額)を記入します。
他の収入、例えば、年金だとか、各種手当(児童手当)等も同様です。
他に、支出においても、水道光熱費・家賃等については、金額は正確にでると思うので、そこは正確に書きます。
他方で、食費とか、嗜好品(タバコ・酒)、日用品、雑貨等は、そんなの毎日のことなので大変ですし、牛乳1本200円とか、いちいち、控えたりレシートを取っておくのは大変です。
ですので、それは大体で構わないです。
いずれにせよ、依頼している司法書士や弁護士事務所に問い合わせてみてください。
その事務所の感覚というか、スタイルもあるはずですので、
「これ、どこまで、正確に書く必要がありますか?」
というのを聞くのが一番です。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(新潟市・新潟県)から、個人再生の必要書類としての家計簿(家計収支表・家計の状況)を提出する意義、個人再生の家計簿(家計収支表)の項目及び書き方についてご説明致しました。~